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日本で慈善活動が広まらないのはなぜだろう

寄付する人、ボランティア活動する人、なぜ日本では慈善活動が一般的ではないのだろう。

先日海外生活がながい歳上の友人から、「欧米では慈善活動が当たり前。日本も欧米を見習わないと。」という話をされ、「日本人の意識だけの問題なのかな?」と疑問に思ったので考えてみた。

人手不足に悩む障がい者支援団体

わたしは以前、障がい者支援団体で一年近くボランティア活動をしていたことがある。
そこではボランティアの恒常的な人手不足に悩んでいた。

その団体は、障がい者と地域の人の交流イベントを開催している団体で、お金がないためにほとんどのスタッフは無償か少額の有料ボランティアだった。

門戸を広げて、利用者から利用料を取って収益化を目指せばいい、そう最初は思ったが、障がいのある方の中には人混みが苦手な人が多く、知らない人がいるというだけで足が遠のいてしまいそうもいかない。

じゃあ障がい者自身の単価を上げるのは?とも思ったけど、ほとんどの障がい者向け行政サービスは無料なため、利用者の気持ちを考えると単価アップにも積極的になれない。

こういった理由でどこの障がい者向け団体でも収益化を目指すのが難しく、自治体からの補助金やボランティアに頼らざるをえない状況にあるらしい。

わたしがボランティアに参加した理由

転職を考えていたものの、30代子持ちの未経験者を雇ってくれるところはないだろうから、まずはボランティアで実績を積もうと思った。当時「マーケティングやPR活動」に関心があったわたしは、「マーケティングやPR活動」を募集していたこの団体に応募したのだ。

その団体では、ボランティアをもっと増やすために、以下のような施策を考えていた。③はまさにわたしが飛びついた施策。

①周辺のボランティア活動を単位取得の条件にしている福祉系大学や高校に提携を申し入れてみる。
②大きな企業はCSR活動に関心があるはず。地域に大企業の支店とかあれば連絡してみる。
③ボランティアの活動内容を細分化して、「Webサイト制作」「PR活動」など募集業務を特定して募集する。転職前に経験を積みたい希望者をねらう。

メリットがないと慈善活動できない日本人

でも、上記案には欠点がある。
純粋な目先のメリットにつられてやってくる人を捕まえる仕組みなので、単位目的の大学生は単位が取得できたらいなくなるし、経験を積むことが目的の社会人はある程度経験を積めたら人はいなくなってしまう。
かくいうわたしも他の事情が重なったこと、時間的余裕がなくなったことに加え、「マーケティング・PR活動」を少し経験したら満足してしまったという心情もはたらき、この活動から離れてしまった。
(それでも障がい者が置かれている環境には今でも関心を寄せてるし、今後慈善活動に取り組むならまたこの分野にしたいと思っている。)

果たしてこの解決策は根本解決になるのだろうか。

ユダヤ教のツェダカに学ぶ

以前ユダヤの文化が気になって気になって、夜な夜な調べていたことがあった。

ユダヤにはツェダカという慈善活動の文化がある。

赤ん坊のころから毎日、社会的弱者を助けるための貯金箱(これをツェダカと呼ぶ)にコインを入れる習慣を付けさせます。
子供たちはお小遣いの10%を貯金箱へ入れ、その後どうやってこのお金を使用するのかも、一緒に話し合って決めていきます。
こういうプロセスを経ることで、子どもたちは幼少期から「お金とは、他者を助けることができる美しく価値あるもの」というポジティブなイメージを持つことができ、その大切なお金をどうやって管理し、増やしていくかという「経済と労働教育」にまで発展させていくことができます。
慈善教育とは結局「人としてどう生きるのか?」を問う人格教育であるため、このツェダカはユダヤ人家庭にとって、大切な義務教育の一つとなっています。

そう、ユダヤ式の家庭教育では慈善活動は「やるべき義務」。日常的に身近な両親がやっている姿を見て育つから、慈善活動するのが当たり前。

例えるならば、車は来ないけど信号が赤だから横断歩道を渡らないという日本人の行動と同じくらいなのかな。「みんなそうしてるから」それ以上でもそれ以下でもない、無意識の行動。彼らの慈善活動はそれくらい当たり前の行動なのだとおもう。

お金にポジティブイメージを持ったことが、今世界の富を独占していると言われるユダヤ人の経済的成功に繋がっている一つの要因といわれている。

また、「人としてどう生きるのか?」を慈善教育で学び考えることは、個人的にとても大事なことなのではと思っている。

自分で寄付する先を決めることにより「自分は世界にどんな影響を与えたいのか」を幼いころから考えるきっかけにできる。
私自身、そんなとこ考えたこともなかったのに、大学の就活シーズンに初めて考えようとして、そう簡単に答えが出るはずもなく、結果「就職人気ランキング」を参考にしてみんながいいという企業に就職した。そして自分には合わないんじゃないかと入社10年経っても悩み続けている。

「人としてどう生きるのか?」を幼いころから考え、「世界のこんな問題を解決していきたいんだ」という自発的な思いは、きっと子供の人生をより明るく、充実したものにしてくれるとわたしは信じている。

日本で慈善活動者を増やすためには

話は戻るが、欧米で寄付などの慈善活動が盛んなのは、前述のとおり宗教観の影響が少なからずあるとおもう。

では、日本で慈善活動を増やすためにはどうしたら良いのか。2歳の息子が将来慈善活動に前向きに取り組めるようにするにはどうしたらいいか考えてみた。

幼い頃から「慈善活動はなぜすべきなのか」を一緒に考えて、息子なりの意見を持ってもらうことが大切なのかなとおもう。

そのためには、わたしが今回ボランティアに参加して思ったことを体験談として話すのもいいし、

ユダヤ人のようにお小遣いの一部を、自分で寄付先を決めさせて寄付してみるのもいいかもしれない。
そこから、息子ならではの慈善活動への考えを持ってもらうことが、将来の息子の行動を変えることに繋がるのだとおもう。

おわり

English 英文要約

後日追記予定

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