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僕にとって永遠に謎で思い出のワイン「ラ・ロマネ」

こんにちは、ノンベール西澤です。
(お酒が話題になった時だけ、名前が変わります)

僕は大のワイン好きで、会社員時代には「ノムリエ」、
独立したタイミングで「ノンベール」
といったニックネームを拝命してしまうくらいなのですが、僕には2本の「思い出のワイン」があります。

思い出のワインその1

1本目は、シャトー・ランシュ・バージュ(Chateau Lynch Bages)です(飲んだのは1993年もの)。

僕の叔父も大のワイン好きでして、大学の卒業祝いとしてご馳走してもらったのが「シャトー・ランシュ・バージュ1993」でした。
「ワインってこんなに複雑で美味しいんだ…!」と感動し、ワインに目覚め、のめり込んでいったのがこの時でした。

思い出のワインその2

そしてもう1本のワインなんですが・・・実は詳しい記憶がありません。
ランシュ・バージュよりも1~2年前のことであり、もっとワインのことを知らない時だったからです。

当時の僕の認識は、どちらかというとワインは渋味や酸味のあるもの――。
まあ、高級なワインを飲んだことが全然ありませんからね。

しかし、(将来の酒飲みとして)非常に幸運なことに、父親がワインの輸入もしている商社に勤めていたのです。
ですから年に2回、ボーナスの時期になると、格安での社内頒布会が行なわれていました。

当時は、1本1,000円~2,000円くらいするワインが、その時だけ社内価格で3本1,000円で購入できる――というとてもありがたい環境でした。
また、ちょっとラベルが汚れているとか、ラベルが一部剥がれてしまっている……といった理由によって、高級なワインが市価の1/2とか1/3で提供されていました。

そしてある時、父が高いワインを買ったのです。
その社内頒布会での値段が、なんと6,000円でした。

いや、当時はそもそも6,000円もするワインを飲んだこと自体が一度もありません。
ですが父は、そんな高級ワインを購入したのです。

いいですか。定価が6,000円ではありません。
社内価格でそれですから、一般の価格としてはおそらく2万円はするはず…と当時の父も僕も信じていました。

僕ら家族(父母と兄と僕の4人)は、ドキドキしながらそのワインを飲みました。
当時、1990年代後半でした(僕が1977年生まれです)が、おそらく80年代のもので、既に結構熟成していたワインでした。

そして僕は、このワインを飲んで衝撃を受けました。
「ワインって、こんなにまろやかなんだ…!!」

デイリーワインしか飲んだことのなかった僕には、この時の「熟成ワイン」の「まろやかさ」は本当に衝撃的であり、極上でした。

ただし、銘柄を覚えていない…

さて、とっても美味しいワインを飲めたことは良いのですが、なにぶん当時はワインのド素人です。
ラベルの読み方なんて知りませんし、ラベルを剥がして取っておくなんて知識もありません。
まだインターネットもない時代ですから調べることなどもできません。

当時の僕がうろ覚えで覚えているのが
「ラ・ロマネ」ってラベルに書いてあった気がする…!
(そうやって父親と、よく分からないこのワインの話をした)
という、なんとも頼りない記憶だけなんです。

調査開始

僕がこのワインのことを思い出して調べようと思ったのは、かなり時間が経ってからです。
それでも、うろ覚えの「ラ・ロマネ」という名前を検索してみると、こんな超高級ワインが出てきました。

おいおい…。

まあ、こんな高級ワインのはずがありません^^

でも、調べてみると「(ラ・)ロマネ」という名前がついている畑は、めっちゃ高級っぽいんです。
ロマネ・コンティという、超有名な高級ワインがありますが、それは「コンティ侯爵」が所有した「ロマネ」の畑だったりするわけで…

そんなこんなで、僕の思い出のワインを探す旅は、かなり難航しました。
飲みに行った店にソムリエがいると「ラ・ロマネ」という名前のつくワインを知りませんか?などと尋ねたりもしました。

でも、先ほど上で画像をお見せしたような超高級ワインしか、情報は出てこなかったのです。

希望の光?

でもある時、とあるワインショップからのメールマガジンを見ていた時に、ふと僕の手が止まりました。これはもしかして……!?

1万5千円ほどするワインなのですが、僕は思わず注文してしまいました。
「これがそのワインかどうかは分からないけれども、これを両親と飲みたい」、そう思ったからです。

そしてさっき、両親と一緒にそのワインを飲むことができました。
それがこちらです。

LA ROMANEE(ラ・ロマネ)と書いてあります

自分なりに、それなりに推理もしました。
例えば、価格的にも妥当じゃないかとか、当時飲んでいた(父の会社で扱っていた)ブルゴーニュワインとラベルが似ている気がしなくもないとか、
ジュブレ・シャンベルタンは「ビロード」と形容される「滑らかさ」のあるワインなので10数年熟成していたらきっと「まろやか」になるはずとか・・・。

まあ、父の会社で取り扱っていたことがあるかどうかを調べてもらったらいいのかもしれませんが、別に僕は真実を知りたいわけではありません。
それよりも、うろ覚えであることを楽しみたいのです。その方がロマンがあると思うからです。

今回飲んだワインが、思い出のワインかどうかなんて分かりようがありません。また、仮に同じ銘柄だったとしても、生産年が違いますし、あの時のワインにはもう永遠に出会うことはできないのです。
そもそも飲んだワインは、思い出の中でしか出会えないものなのです。

だからこそ僕は、今回見つけることができた「ラ・ロマネ」を両親と飲みながら、語り合うことができたことに十分満足なのです。

今回出会うことができた、まだまだ若い「ジュブレ・シャンベルタン」の「ラ・ロマネ」は、滑らかで、でもとてもパワーがあって、とても美味しかったです。


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