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契約変更が必要な場合

どのような場合に、契約の変更が必要になるのでしょうか?
短期の契約であれば変更する必要もなく、期間満了で契約が終了します。
しかし、3~5年、10年といった長期契約の場合、様々な事情から契約を変更する必要が生じます。
契約は、締結後のビジネスの基礎になる合意ですが、「予言の書」ではありません。
想定可能な内容をできるだけ規定するでしょうが、あらゆる事情に対応できる訳ではないです。また、場合によっては、あえて規定せずに、後ほど合意して、変更契約で追加するということもあります。
どのような場合に契約変更が必要になるのか、を念頭に置いておけば、そのような場合が生じたときに、対応しやすくなると思います。
どのような場合があるのか、考察します。
(全ての場合を網羅しているわけではありません。)

1. 経済状況の変化

① 例えば、急激なインフレや、円高・円安などにより、当初予測していた(予算化していた)販促計画を実行するには、想定外の費用を要するといった場合。→費用の増額や、費用分担割合の変更などが必要になる。

2. ビジネス予測の変化

① 契約製品を実際に販売開始してみたら、当初予測より売上がかなり下回った場合。→価格やロイヤリティの再交渉が必要になる。販売体制の変更が必要になる。
➁ 競合製品が上市されることにより、契約製品の販売が予測を下回る可能性がある場合。→競合製品に対抗するために、価格変更や、販売体制の変更などが必要になる。

3. ビジネス計画の変更

① 契約製品の販売を担当するビジネス部門が縮小される場合→販売体制の変更。ガバナンス体制(Steering Committeeなど)の縮小。
➁ 契約当初予定していた販促活動を行うことが難しくなった場合。
➂ 契約製品の製造国の変更、流通経路の変更、業務の一部の再委託先の変更

4. 突発事情

① コロナ禍のような不可抗力に相当するような事情だが、不可抗力として扱うのではなく、両当事者で協議して、契約変更で乗り切ろうとするとき。
➁ 契約製品の欠陥、回収などの突発事情により、現状の契約内容だけでは対応できなくなった場合。
➂ 一方当事者に不祥事(たとえば個人情報漏洩)が発生した場合→それに対応するため、契約の規定を強化する必要がある。

5. 法律・法令・社内規定の改廃・変更に対応するための契約変更

① 法律が改変されたため、現状の契約の内容では、ビジネスが成り立たない場合。(採算性の悪化など)
➁ 許認可条件の変更、(特許や、業法、その他の法律に基づく)市場独占期間の変更。
➂ 個人情報保護法制、独禁法、外為法、輸出管理規制、技術移転管理規制などの変更。
➂ 一方当事者の社内規定が変更されたために、現状の契約内容では、その社内規定に適合しないために契約変更が必要になる場合(例えば、法令遵守に関する社内規定の変更により、契約変更が必要になる場合)。

6. 当事者の買収

① 販売を担当している相手方当事者が、競合企業に買収されることにより、契約対象製品の優先度が下がることが予想される場合→契約を解除するのではなく、契約条件を変更することで乗り切る。

7. 不足事項の追加

① 契約で合意していた内容だけでは、十分にビジネスを継続できないので、不足事項を追加する場合。
➁ 原契約締結時点で想定していたビジネス・シナリオとは異なるビジネス・シナリオ、ビジネス・ケースが実際にビジネスを開始すると出てきた場合。→それに適合するようなビジネス・シナリオ、ビジネス・ケースを織り込む内容に変更する。

7. 誤記等

① 単純な誤記等の修正。
➁ 現状の規定では明確性が欠けるため、明確にするための変更。
➂ 例示の追加。

            以上

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