「運動を好きになること」から全ては始まる。
小学校にはなぜ体育の授業があるのでしょうか?
学習指導要領には小学校体育の目標は以下のように記載されています。
■小学校体育の目標
体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を見付け,その解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) その特性に応じた各種の運動の行い方及び身近な生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な動きや技能を身に付けるようにする。
(2) 運動や健康についての自己の課題を見付け,その解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。
(3) 運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,楽しく明るい生活を営む態度を養う。
※【体育編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 より
ここでのポイントは「豊かなスポーツライフを実現する」という言葉です。
■豊かなスポーツライフとは?
豊かなスポーツライフを送るということは
・運動の価値を知り、自己に適した運動との関わり方で、末長く運動とのより良い関わりを続けていく。
・そして運動を通して、心身の健康の保持・増進のみならず、多様なコミュニティの創造や自己肯定感の向上、自己実現などにも繋がっていくこと、
と表現することができます。
つまり簡単にいえば「自分らしく運動を楽しみ、運動を自分の人生にも活かしていく」ことだと思います。
■「運動を好きになること」から全ては始まる。
豊かなスポーツライフの実現のためには、「無理やり」身に付けさせても、長期的にはあまり意味がありません。
例えば、マラソン大会に向けて無理やり走らせて、一時的に体力が向上したとしても、「こんなに辛いならもうやりたくない」「いつも順位が低くて恥をかくから、走りたくない」となってしまっては運動嫌いを増やすだけです。
「辛いことに耐える力を養っている」という見方もできるかもしれませんが、それがもし身体の成長度合いや運動の経験の差で、「努力してもどうしようもない差」が他の子どもたちとあった場合には、ただただ運動嫌いになったり、自信を失わせるだけです。
マラソン大会の場合、強制的に「何分走って、競争しなさい」とするのではなく、
・前回と比べて自分のタイムがどれくらい縮まったか。
・最初は自分が気持ち良いペースで走ってみて、慣れてきたら目標を設定してみる。
などに変えることが出来れば、嫌な思いをしている子どもたちを救えるのではないでしょうか?
大人になってランニング好きになったり、ジムに通い始めた人は、「自分のペースで出来る」からこそ、継続して運動を楽しむことが可能になったはずです。
体育においても、子どもたちが運動を好きになった結果として、動きや技能が身につくことが理想的です。
それが「豊かなスポーツライフ」への入り口になっていきます。
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