「僕霧」を今更ながら振り返ってみた

公式サイト、Twitter等使える媒体で散々告知をしてきました、

演人の夜第6回本公演
「僕達は出会った、霧烟る木々の中で」

が3月31日の配信終了をもって終幕致しました。

劇場でご観劇いただき、配信でご視聴いただき、本当に、本当にありがとうございました。

今更感ありますが色々振り返っていこうかなと思います。

一個一個のエピソードがとにかく長くなっては消しての繰り返しで投稿がこんな時期になりました本当にすみません。


葛藤

さて、いきなりこんな出だしもどうかと思うけど今回は本当に色々あった。一個一個書いてたらキリがないけどまぁ色んな事が重なりまくった。

中でも年明け早々の緊急事態宣言再発令が一番応えた。

この報道を最初に目にした時にお寿司を食べてたのですが不安と心配が一気に押し寄せて途中から脂ののったサーモンの味がしなくなりました。

「あれとあれの対応どうしよう、こここうしなきゃダメだよな」とか色んなことが頭を巡りました。


もっとぶっちゃけると公演をこのまま続けるかどうかも迷った。


このご時世、劇場で公演を打つという事はお客様、キャスト、スタッフの命を預かる事に等しい。

「公演を打つ事によって誰かが感染してしまったら…」

そんな不安が頭の中を支配してもはや準備どころじゃなくなった。

頭の中がパンク寸前だったけどどうにか自分の考えをまとめた。

そのうえで劇団員の荏原とも話し合った。

稽古前に他のキャストにも意見を聞いた。

制作の杉山さんとも電話で話した。


各所と話した事で得た答えは

「今だからこそこの作品をやる事に意味がある。やめたら後悔する。」

というものでした。

正直、ホッとした自分がいました。

今思えば中止にしたくないが故の苦悩だったのかもしれません。

ただ、だからといって「よっしゃやるぞひゃっほーい」というわけにはいきません。

やるからには感染しない、させない。これに尽きます。

稽古場でも劇場でも、やれる対策は全力でやりました。

初めてコロナ渦で打った公演だったのでこちらで取ってる対策が合ってるのか不安でしたが座組やスタッフからの知恵を借りて、お客様からも座組からもキャストからも体調不良者や感染者を一人も出すことなく終える事が出来ました。

ツイートやアンケートでも感染対策に関してのお褒めの言葉をいただけたのはめちゃくちゃ嬉しかった。

知恵を貸してくれた皆にも感謝ですし、今後コロナ渦で公演を打つ時の基準が出来たのがデカい。これで主催側の不安も少しは和らげられる…



頼もしかったキャスト、スタッフの方々

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色々と力を貸してくれた座組の皆さん。

もう本当に心強かった。

色んな事を考えすぎてパニくってた時に支えてくれた皆には感謝してもしきれません。

今回はこれまで演人の夜に出てくれた人達、金子と荏原が外部の団体さんに携わった時に出会った人達、オーディションで出演が決まった人達、一方的に別の公演で見てオファーをかけた人達と幅広くキャスティングしました。

出会った場所も年齢も芸歴もバラバラで客演さん同士互い互いが初めまして、というのは今回に限った事ではないですがこれがいい化学反応を生み出してくれました。

皆のコミュ力が座組と作品にいい影響をもたらしてくれました。

僕自身至らない所がたくさんあったのに…申し訳ない気持ちもありつつ本当にありがたかった。


なんというか、明るかったなぁ。物語は例のごとく禍々しいものだったけど。いや、だからなのかな。

コロナ渦だったから皆と稽古終わりに飲みにも飯にも行けなかったけど(一回年末にリモート飲みしたくらい)、このメンバーでもっと稽古以外でワイワイ喋りたかったなぁ。多分皆も同じ気持ちだったと思うし稽古外でのコミュニケーションってめちゃくちゃ大事なんだなと再認識しました。

コロナ収まったら対面で飲みたいなぁ


吉報があれば一緒に喜んでくれて、悪い報せがあれば励ましてくれて…

一心同体、運命共同体だったんですよね。座組って本来そういうものなんだけど今まで以上に顕著にそれが表れてた。

一人一人稽古、本番期間中の面白いエピソードがたくさんあるのですが全部書くとエグい量になってしまうので割愛します。あの人のエピソードが聞きたいとかあったらこっそり教えますw

そして座組はキャストだけではありません。

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スタッフの皆様ももちろん大切な仲間です。

スタッフの皆様も色々と試行錯誤してくれてたなぁ。

音響も照明も衣装も美術も凝りに凝ってくださいました。舞台監督の久保田さんも制作の杉山さんも心の支えになったなぁ。

とにかく、この座組で僕霧ができた事に感謝です。

急病で降板する事になった竹之内くんだってもちろん大切な座組の一人です。

いつか竹之内くんともう一回作品作りたいな。


改めまして、本当にありがとうございました。


物語の裏話

本編についてお話しましょう。

今回のお話は何度も言及している通りスラヴ民話の妖婆、バーバ・ヤガーを軸に据えたお話を書きました。

何故この話を書こうと思ったのか?


そもそもバーバ・ヤガーという存在自体、電子書籍のホラー漫画短編集で初めて知ったものでした。

その時は「変な名前だなぁw本当にいるのかこんなの」と軽く見てました。

調べてみるとロシアではメジャーな妖怪で設定が興味深く、「子供を食らうという説」もあれば「子供の味方になるという説」があり、物語によって様々な顔を覗かせています。

「へぇ、面白いなぁ」と印象がガラッと変わりました。


それから少し時間が進んで、吉本興業の闇営業問題が世間を騒がせました。

当初報道されていた内容が宮迫さんと亮さんの決死の会見で真相がどんどん明かされていく様が一つのドラマの様に感じると共に「世間がいかに表向きの報道に踊らされてるか、大した情報もないのに人を叩く事がどれだけ愚かな行動か」を知りました。

…ん?

待てよ?


これ、バーバ・ヤガーの設定とミックスできないか?

住民達は一方的な話しか信じず、それでもバーバ・ヤガーの正体を目の当たりにした主人公がそれを伝えようとするも裏切者と非難を浴びて…

あ、

いける!


そんな思いから今回の物語を描きました。

あの物語はお客様の目にどう映ったでしょうか?

個人的には何度も何度も見返して、洗脳教育や同調圧力の怖さがありながらもいつもよりも人の温かさが書けたかなと思っています。

昔はいかに残酷に見せるかに焦点を当てていましたがコロナ渦での思考の変化もあって、温かみを出せたらいいなと願ってあの顛末になりました。


ちなみに、あの物語の登場人物たちのその後について様々な考察がお客様やキャストの中にありましたが、

サーシャとバーバ・ヤガー以外の登場人物は全員あの炎に焼かれて死んでいます。

はい、ほぼ全滅です。

あの中には大切な人がひどい目に遭って自害を試みようとしたり大切な人を守るために戦おうとしたりしていますが、

バーバ・ヤガーのあの炎に太刀打ちできずに全員焼き死にました。

中には「今」に絶望し死を望んだ者もいたかもしれません…


バーバ・ヤガーはサーシャの記憶を奪った後に姿を消しました。


ではどこに行ったか?


離れの森ではない別の森で、また一人でひっそりと暮らし始めました。

木の実とカラスの肉を食べながら静かにゆっくりと、人間の汚さ醜さを見ずに済む世界を遠いどこかで築き上げたのです…

だが、サーシャに何かあった時のために彼女はひっそりと、サーシャの記憶の珠を彼にわからない場所に残していきました。

サーシャは記憶を奪われた後、焼け野原と化したリェス村の跡地で生き延びました。

彼は記憶を奪われたので何故ここが焦げた臭いがするのか、焼け死んだ人々が誰なのかもわからず、それでも生きなければいけない…そんな気がして数十年生きてきました。

気が付けば老人になり、リェス村の跡地での生活にも当たり前になってきたころに久々の来客が訪れます。


はい、冒頭で出てきた旅人です。


彼は迷い込んだリェス村の跡地でバーバの残した記憶の珠を偶然拾い上げます。

そこに老人のサーシャが現れ…


あとは本編に描かれた通りです。

他のキャラクターについても裏話がたくさんあるのですが、
ここで書くには量が膨大過ぎるので、
個人的にお問い合わせください←

最後に(今後の話も込み)

あー
めちゃくちゃ長くなってしまった。

これでも削って削ってなんですよ。本当に。


とにもかくにも、感染者を出すことなく、ケガもなく、皆様のおかげでこのご時世で舞台での公演を終えられた事を心より感謝いたします。

本当に、本当に、本当に…

ありがとうございました!!

僕霧に関しては節目に再演したいなと考えています。

その時は本編よりも過去の時系列を描いた過去編と2本同時上演できたらいいなと思います。

キャストに関しては極力今回と同じ人にできたらいいなと思うけどどうなるかな…その時の状況によって変わってくるだろうし。

そして再演場所は目標にしている劇場の一つ「吉祥寺シアター」でできたらなと思います。

その時にはコロナが収まって間隔開けなくてもいいようになってればいいな!!

そして、7月17日(土)、18日(日)に演人の夜初のイベント「演人の催」を開催します。

過去公演の上映会をしようかなんて話をしていますが、


この僕霧も、

上映するかもしれませんよ?


一日限りのリェス村復活…あるかもしれませんよ?


詳細は近々出します。

続報を待たれよ!!


最後までお読みいただきありがとうございました。


今後とも、演人の夜を、金子賢太朗を、荏原汐里を、宜しくお願い致します。

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