制作には2種類あるのではないか

先日、劇団の代表と公演に関して激論を交わしました。
曰く、今回の公演ではチケットをもっと売れるような施策を考えてくれる制作さんを雇いたい、とのこと。

・いやいやそれは営業じゃね?(自分たちで当然ある程度やる必要があるし、考えられるのでは?)
・そこまで業務としてやる人もいるけど本当にそれ制作の仕事?
・考えてくれたとしてそもそもの公演自体にどう携わさせていくの?
・ていうか、それ実質的にクビ宣告?
などなどいろんな観点からの疑問がわき、まあ白熱しました。

彼の真意としては、”自分たちの営業ではリーチできる客層が限られている。外部から積極的に集客を行っていかなければダメだ。それに今までと違うことをやれば劇団としても学びがあるはず。”ということでした。

”それならわかる。じゃあ今回はそうしてみよう”。となったのですが、”なんでこんな激論を交わす結果となったのか?”(文字では伝わらないかもしれませんが結構激しいトーンで会話してました)と振り返って見ると、いわゆる”制作”は大まかに分けると2つあり、そこに関してお互いの認識にギャップがあることに気づきました。
※劇団は、前提となる全員の社会経験が当然違いますので、話し合いや合意形成に思わぬ時間がかかったりバトルが勃発するときがあります。

制作には2種類ある?

今回の騒動(?)で思い当たったのは、

①座付きとしての制作
 -劇団内の目標決定やルール決め等、一つの団体をマネジメントし代表や劇団員とともに劇団としての成功を導いていく役割
②公演を成功に導く制作
 -公演を1つのPJととして捉え、お金・人・時間・芸術の観点から公演を成功に導いていく役割

大まかに分けるとこの2種類の制作がいるのではないかということです。

そもそも”制作”というと、その仕事範囲は広きこと海のごとしです。

しかも会社のように決めてくれる人がいないので、自分たちで話し合って決めていく、劇団員にうまく仕事を振っていかないとまあまず成り立ちません。そもそも社会人としてやっているので日中の時間も限られます。

で、今まで自分がやってきていたのは
①座付きとしての制作:60%
②公演を成功に導く制作:40%
くらいの比率じゃなかったかなと。
①でいうと、代表が企画した公演のケーススタディを作って判断をサポートしたり、HP制作案の立案や各種SNSの運用実態のレポート。あとは補助金周りをリサーチしたりとそういったことをやっていました。
これでもけっこう大変です。

そして公演が始まると②に移行します。票券管理、稽古場リサーチ、精算、人工の確保、、などなど仕事やりながらこれやると確実に痩せますw
(本当に大変です。やり終わった後の感覚はほんとに言葉にできませんが、始まる前はいろんなものを捨てる覚悟で臨みます)

さて、この2つに分けたとすると、見えてくるものがありました。

それは、冒頭で出ました当劇団代表の”制作さんを雇いたい”というのは②に属するということです。この希望を聞いたときに”実質的なクビ宣告か!?”と思ったのはこの①と②が区別できていないことが発端でした。

そもそも①と②に分ける必要があるのか?という点ですが、基本的に②の人の仕事はあくまで単位は公演(1つのプロジェクト)であり、①のような部分にはあまり深入りしないと思います。雇用するという可能性もありますがそもそも劇団にはそういう選択肢はあまりないような気がします。
したがって、もし自劇団内で制作の役割がほしい、となった場合はどちらの役割がほしいか考えてみる。①と②では、求められていることが大きく違います。

この①と②の隔たりをうまく泳ぐのが、社会人として制作をやっていく上で重要なのではないかと思うのです。
うまく泳ぐというのはつまり、代表や劇団員と認識を合わせる、ということです。
だって、制作ってめっちゃ仕事範囲広いんだもん。
1つできていないと簡単に”できていないじゃないか!”とか言われてしまいます。そうではなく、①と②というカテゴリーを説明した上で、”いまはこっちの話だよね。じゃあ他の劇団員にも手伝ってもらうことはできるんじゃない?その代わりこっちはやっておくので。”というようにある程度の線引を作ってしまえばわかりやすいんじゃないかと。

社会人やりながら制作をやっていきたい!と考えた際に、どちらを希望するか、ご参考になればと思います。


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