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#8 「実感」を大切にする / JINENコトハジメ

・ Podcast「JINENコトハジメ」の文字起こしを中心としたpostです
・【文字起こし】の部分は無料でお読みいただけます
・【解説】【参考文献】の追記後は、その部分は有料公開にする予定です

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【Podcast #8】

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【文字起こし #8】

山田:
皆さんこんにちは。JINENコトハジメのPodcast、第8回です。このPodcastは「自然経営って何?」っていうことを自然経営研究会の発起人の1人である私山田の立場から語っていこうというシリーズです。
今日の聞き手役は、前回に引き続きよしこさんをお呼びしています、よろしくお願いいたします。

良子:
はい。よろしくお願いします。

遠藤良子(えんどう よしこ)

ライフ&キャリアコーチ/オンラインファシリテーター
カラー&ファッションアドバイザー/ワークショップデザイナー
irodori代表/中国在住

大手出版社他エンタテインメント業界に17年ほど勤務。
職場を愛し、目の前のことに日々のやりがいを見つけて過ごしていたものの、遠距離結婚の限界を感じてコーチをはじめとする副業キャリアの構築を2012年よりスタート。
2014年パートナーの転勤で中国へ転居。
会社の肩書きがなくなって改めて、自分自身が熱を持って生きることがキャリアの構築につながることを体験。
2019年自然経営研究会のマンスリーカンファレンスに参加。
組織で働くダイナミズムや新しい組織体への可能性を感じてやっぱり仲間と働くのが好き!と自然経営研究会の活動にジョイン。
2020年7月自然経営研究会代表理事に就任。

note: コーチのあたまん中ーYoshiko from irodori
https://note.com/irodori_closet

山田:
よろしくお願いします。
前回が自然経営の「姿勢の体現」の一つ目、「熱量を大切にする」ということを扱いましたが、今回は自然経営における「姿勢の体現」の二つ目として、「実感を大切にする」ことについて扱ってみたいと思います。

この姿勢って全部で三つあって、「熱量」と「実感」と「関係」を大切にしようって言ってますが、一人一人の姿勢とか振る舞い方なので、すごく似たようなことをちょっと違う切り口でって言っている感じはあります。

じゃあ1人1人の姿勢や振る舞いとして何を大事にするか?が伝わることが、自然経営の体現そのものにおいてもすごく大事だと思っているので、この辺のことを今回お話をさせてもらえればなと思ってます。

良子:
実感ってなんだろうって早速ちょっと聞きたくなって、どんなものなんですか、山田さんの言う実感って?

山田:
これは日本語に何にしようっていうところで悩んで、今は実感という言葉を使ってるんですけど、この中で大きく三つのことを言いたいと思っています。

一つ目は、体験したことによる「実感値」をちゃんと重ねるっていうこと。
二つ目は、体験を「共有」するっていうこと、周りの人と共有してる経験があるっていうような実感があるっていうこと。
三つ目は、ちょっと切り口が違って、問題を解決するとかっていうときに、「実感のある当事者」が問題を解決するっていうことがすごく大事だと思っているので、この三つというふうに思っています。
ちょっと簡単にずつ説明をさせてもらいますね。

山田:
一つ目、「実感値」をちゃんと大切にするっていうことで、これはPodcastを始めるときからずっと言っているんですが、自然経営って頭で理解するだけではわからないことがいっぱいある、良子さん眉間にシワが寄りながら聞いてくれてますが。(笑)
それが何でかを頑張って言葉で説明しようとすると、自然経営で組織は生き物のように扱おうとしている組織の捉え方と、その中で、あるがままに委ねることを大切にしようっていうことをやっていくと、そうなると結果的に「何を」やるといいのか、「方法論が何か」っていうことって、その捉え方と姿勢の上だったら、極論すれば何でもいいってことになってしまう。

「やり方がこうです」とか「切り口がこうです」っていうことだけで説明しきれるものではないなっていうことを、すごくやっている中でも実感してきたので、「一緒に経験するっていうことだね」っていうことに結構、帰着しがちだなって思っています。

自然経営塾とかの中でも、理解だけじゃなくて感じること、自分の中で湧き上がることとかも大事にして下さいっていう話を一緒にさせてもらったりもしましたけれども、そういう感覚も含めて積み重ねるっていうこと自体をまず大切にしないと、「自然経営を頭で理解しました」「正しいやり方がわかりました」とかじゃない世界がすごく大事だよっていうことがまず大前提伝えたいなと。

良子:
なるほど、それがこの実感という言葉に込められてるんですね。

山田:
そうですね。続いて二つ目では共有する体験、共通体験を持つことも大事だなと思っています。
これって、一つ目の「言語化されないことがあるよね」っていうことを共有することも大事だっていうことにもすごく重なってくるんですけど、やっぱり一緒に何かを取り組んだっていう経験があると、お互いの理解とか、暗黙的にどうすれば心地よく一緒にできるかっていう姿勢とか振る舞い方っていうのがすごく共有されていく。
その共有する体験があるからこそ、「役割だからやってください」とか、指示命令で「これがあなたの仕事です」とかじゃなく、心地よく、自律的に動きながら一緒に進んでくっていうことができる。

平たく言ってしまえば相互理解なんですけど、それを言葉とか、価値観の対話とかだけじゃなくって、一緒に動いた経験があることで、一緒に実感を持って次に向けていくっていうのは大事だと思うので、その積み重ねをしていくっていうこと自体がな、自律的にそれぞれが動いていく中ではすごく大事だなと思っています。

良子:
一緒にっていうキーワードが結構出てきますね。

山田:
そうですね。よく、これはもう1人の発起人の武井さんともよく話していたのが、コンテキストを共有するとかって大事だよねっていう話はやっぱりよく出てきます。
それって、対話をするとか、ドキュメントにして読むとかっていうこととかでも、伝わることはもちろんあると思うんですけど、やっぱりそのときその場にいて、何かを一緒にしたとか、場合によっては話した中身よりもそこで話す時間を取ったっていう記憶自体が大事だったりしますっていうことが、コンテキストを作っていく。
それを共有してることが、組織の資産として関係性の中にすごく埋め込まれてるっていうことは、自然経営とか、自律的にそれぞれ動く中ではすごく大事なんじゃないかなというふうに思っています。

さっきサラッと言ったんですけど、役割とか、指示するとか、「あなたの仕事なんだから」みたいなやりとりをする世界だと、よりロジカルに切り分けて定義されたDescriptionでやりとりできるので、やりやすくなると思うんですけど、それよりも、「よしこさんってこのへん好きですよね」とか、お互いわかっていると、「半年前に一緒にやった取り組みのあの頃みたいな感じ」って言っただけで、伝わり合えることとか、そういう実感を共有してることが、役割じゃない世界ではすごく大事だと思うので、そういうことを大切にするんじゃないかなと思うんです。

良子:
プロジェクトというか、共通体験を重ねていくみたいな、前のPodcastで話した「熱を育む」っていうところの、育んできたプロセスの中で一緒に体験した「なかなか火がつかなかったね」とか「1回消えちゃったね」とか、今仮想で話してるにも関わらず、きゅんとくるものがある不思議というか。
ただ思いがあるだけじゃなくて、それをやって見てそれを誰かとやることでお互い何か気づいたり、それを腹に落ちたり、そうじゃないって思ったり、そのプロセスが進むことでより進む方向が見えてくる、そういうドラマティックなイメージが見えてきましたね。

山田:
そうですね、ドラマティックなっていう言葉がすごくいいなと思ったのが、同じストーリーというかドラマとかを共有したこと自体がすごく資産じゃないですか。それが積み重なることをすごく大事にできるといいなと思いますね。

先ほど冒頭で言った三つ、一つ目が、理解だけじゃなくて実感を自分で大切にしようということ。二つ目が体験を共有することによって得られることをちゃんと大事にしようっていうこと。
最後三つ目は、これはちょっと切り口が違って、実感を持っている「当事者が問題を解決する」ということがすごく大事だと思います。

これは特に前回の「熱量を大事にしよう」ということのある種、裏返しというか、違う切り口かなとも言えます。

「当事者による問題解決」って、ティール組織とかホラクラシーとかの中でも、テンションっていう言葉でよく出てくる。テンションって日本語だと「緊張関係」になっちゃうんですけど、輪ゴムを引っ張ったときに、そこの間に緊張関係があるっていうものがテンションっていう言葉です。
これを、引っ張りを感じてるその人自身がその問題に取り組むんだよねって捉えているのが、テンションっていう言葉としてティール組織やホラクラシーでも出てきます。

それって、組織に問題とかがあるわけじゃなくって、あくまでその現実に直面している人がテンション、何らか、「今の状態」と「こうあってほしい」の差分に距離を感じて、輪ゴムが引っ張られるように、距離が遠いからそこに緊張関係があってどうにかしたい、と思う。
それが問題であって、そこのテンションを感じて「私が解決したい」ってその人が思うから、初めて解決に向かって動いていくっていう構図で問題は解決されるべきだなと思います。

逆に言うとこれは、勝手に「誰かにとっての問題」とか「一般的にはこれは問題だ」とか「常識的にはこうだよね」っていうことで、勝手にテンションを創作して、しかも自分が解決したいと思ってないことばっかり言ってしまう。

良子:
あー、イヤなやつだー・・(笑)

山田:
そうですね(笑)、そうすると「ねばならない」こととか、誰かに「やらせること」がどんどん生まれていくので、当事者が自分の感じる熱量に基づいて問題を解決するんだっていう原則を持ってることがすごく大事だと思います。

良子:
それは本当にその通りって、もう叫びたいなって思って声出ちゃったんですけど、よく組織とか会社も、社員の幸せを願う部署にいる例えば人事部の人とかが、研修とか、例えば今だとリモートワークをどう乗り切るかみたいなこととかで、勝手に想像して、「この課題をやるべきだ」とか「学びの時間を増やした方がいいんじゃないか」とか。
「それ誰が言ってるの?」みたいなやつを受けさせられている人たちの声とかを聞いたことを今思い出していて。
それは最初にやりたい人には熱があったかもしれないけど、「もうちょっと周りの声を聞いた方がいいんじゃないでしょうか?」って思ったなってことを今思い出したりしました。
熱不在で問題があるって大声をたてることってよく組織で起きてますよね。

山田:
よくありますよね。それがもちろん悪意があるわけじゃなくて良かれと思ってどうにかしたいと思っている、その動機には悪はないんですけど。

良子:
当事者不在の問題なんですよね。

山田:
そうなんです。当事者じゃないので、さっきも言いましたけど「ねばならない」ものになっていくし、その言い出した本人も熱量は必ずしもないので、誰かに渡して、渡された方も熱量がない。
組織で仕事だと、役割として降ってくるみたいなことですけど、やらざるを得ないみたいなことがどんどん増えるのはよく起こることだなと思います。

良子:
そうですねー・・。
テンションの話もさっき出ましたけど、もちろん張り詰めたテンションで傍から見てもピリピリしてるからわかるんだけど、逆に弛緩しきって緩み切っちゃってるものは、それもまた気づかないというか、どんどん太っちゃってますみたいな。
緊張と緩和って言い方してますけど、緩和と弛緩はまた別というか。

山田:
あー、なるほど。

良子:
ズブズブというかですね、今、話を聞きながら人の筋肉みたいだなと思ってて。人体もやっぱり筋肉ってやっぱ緊張があって、私がヨガとかストレッチをするときに、どこかを緩めるために、どこか緊張させるっていう意識を向けないと、本当の意味で体から力を抜くことって難しいんですよね。弛緩とは全然違うなあと思っていて。

組織でも「居心地がいい」とか「みんな仲が良くて」みたいなのに対して、「いや、それは緊張感がないとは言いません、か?」とちょっと言いたくなる意地悪な自分がいたりしますかね。

山田:
ちょっと違った切り口ですけど、よく「心理的安全性」っていう言葉が出るじゃないですか。あれもGoogleさんが正しく言っているのって、安全だと思えるから厳しいことをお互い言い合えるというのが心理的安全な環境であって、みんなにとって心地いいことが心理的安全ではないよと、そこは違うんだよっていうことと、構図として弛緩と緩和の違いって近そうですよね。

良子:
緩和というかリラックスをするというか、メリハリか。
また会議の話しちゃうんですけど、御前会議みたいなやつあるじゃないですか。出て、すぐに「はいOK」で終わる会議。「なんなのこれ?」みたいな。
あれも本当に緊張感がなさすぎるというか、盲判というか。

山田:
メカニズムとして組織で問題を解決するプロセスをちゃんと作るっていうことの、正当性というか意味もそれはそれでよくわかるんですけど、それをやる人と承認する人が離れていったりとか、課題を設定する人とやる人が離れていたりとかすると、そこに当事者が不在になったり熱量がなくなったりする。
それだからこそできる組織運営があることももちろん分かるんですけど、自然経営とか、自律的に一人一人が動くとか熱量を大切にするって言っている中だと、誰かが決めた課題を誰かにやらせるとかってなった瞬間に、熱量をきちんとその人が持てる状態に託せるならいいですけど、そうじゃなくって、決まったからやれだと、熱量に基づいて一人一人が動くからは遠ざかっていくので、原則は当事者がきちんとテンションを感じて問題を自ら解決する熱量を持つっていうことの積み重ねだねっていうところに置いとくのがすごく大事なんじゃないかなと思います。

良子:
実際そういう緩みきった会議とか現場に対して怒ってる人もいるんですよね。そういう人ってうるさいっていうか、好かれないポジションに行きがちというか。
でもその人の熱こそが本当はフォーカスされるべき必要な声だよねって思うと、定期的に観測をするとか「いまこの組織は行くべき方向に行ってるんでしょうか」とか「熱があるか」とかはちゃんと意識したい。
意識したいっていうとちょっと大げさですけど、そこに対してちゃんと意識が向いてるかっていうことはやっぱり大事だよなっていう気がします。

居心地の良さだけにフォーカスしちゃうと、緩み切ってることもみんな仲良しで、超いい会社って言いがちだなって思って。

山田:
そうですね、ちょっと違いますけど、ティール組織でいうグリーンの段階である「グリーンの罠」。家族的すぎてお互い言い出せないっていうことも、それはそれで違うねっていうことは、自分がテンションを感じたものとかに素直に向き合おうとか、そこでやりたいことをちゃんとやるとかっていうことになるのは大事なところな気がしますね。

山田:
ということで、一通りいろいろお話をさせていただきましたが、大きく三つに分けましたけれども、自然経営を体現する中において一人一人が実感を大切にするっていうことについて、今日は第8回ですね、お話させていただきました。
ということで良子さん今日もありがとうございました。

良子:
はい、ありがとうございました。

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