マガジンのカバー画像

Open Bookshelf − 公開本棚

32
「知識は主観的な解釈として顔の見える関係を通じて流通する」という仮説を実証するための個人的な実験です。詳細はこちらの記事を御覧ください→ https://note.com/enf…
運営しているクリエイター

#生命的組織

自然経営 ダイヤモンドメディアが開拓した次世代ティール組織(内外出版社)

今さらながら、という気もするけど、そういえば上げていなかった一冊。 自然(じねん)経営という言葉は、著者の武井さんとの縁がなければ生まれなかった。 この本そのものは、天外塾の中で武井さんが語っている内容が元になっている。天外さんの発言や解説があってこそ成り立っているし、自分もなぜか少しだけ登場している(書籍に自分の名前がちゃんと登場したのはこれが初めて…) 「組織を生き物のように捉える」という着想そのものは、武井さんと初めて組織論を深く話すようになったときから、全く変わっ

複雑系組織論 多様性・相互作用・淘汰のメカニズム(ダイヤモンド社)

原著は1999年、日本語訳は2003年の出版。軽く20年前。 自分が2006年に企業研修に関わる仕事を始めた頃。日本の大企業では、経営幹部にMBAプログラムを、新入社員にはロジカルシンキングを学ばせるのが流行りだった。 今から考えてみれば、これらは機械的なパラダイムに基づいた組織論が世間一般まで普及したことの表れ。ここ最近になってティール組織が大流行するのも、同じように、20年前から示されていた方向が現実に実装されてきたこと、という捉え方ができる。 この本では、副題のとお

常若マネジメント 日本人の日本人による日本人のための経営思想(みらいパブリッシング)

ふらっと本屋に入る、という時間は、今でもとても大切にしている。 どれだけamazonでone-clickで買うことが増えても、どこを探せばいいか分からないほど、圧倒的な量の本が目の前に広がっていてこそ、偶然の出会いがある。 この本も、吉祥寺の紀伊國屋書店に行かなかったらきっと、出会うことはなかった。 「常若」の読み方が、背表紙を見たときには分からなかった。 それでも、その漢字の並びに惹かれたのと「日本人の日本人による日本人のための経営思想」という副題を目にして、これはいま

TEAM OF TEAMS(日経BP)

個人的な仮説として、 「組織の最小単位を「個人」から「チーム」に置き換えることが、個人の自律性を高めつつ、かつ全体としての成果を最大化しやすくするアプローチではないか?」 と思っていたので、この本で書かれていることがまさに、という内容だった。 「個人」の力を伸ばすのではなく、「チーム」を基本単位として組成し、その関係性を強化する。事例で出てくるアメリカ軍の中で、精神的にも肉体的にもギリギリまで追い詰められるboot-campの中で、最後の拠り所が「自分」である人は脱落し、「

植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム(NHK出版)

人間と植物の進化の仕方は違う、だから植物の「知性」(=問題を解決する能力)は長らく見過ごされてきた、という話。 “高速の次元に生きるエイリアンの種族が地球にやってきたが、人間の動きを全く感知できなかったために、人間は「自力で動こうとない物質である」という論理的な結論を下した” 人間が植物の知性を認識できないのはこれと同じ話、ということだ。 根っこには「視覚」がある(明るい方と反対に伸びる)、オジギソウは触覚を持つ(触ると閉じるが風では閉じない)、とか、それぞれに