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マケドニア(今のギリシャの北方にあった国)の王
アレクサンドロスが紀元前332年に建設した
エジプトのアレクサンドリアという街で

建設後600年ほどにわたり
錬金術の黄金変成の
理論が推測され続けました。

当時のアレクサンドリアは
エジプト、
ギリシア、
トルコや中東などのオリエント、
そして後にキリスト教へとつながる
ユダヤ教思想など
さまざまな人種と文化が
混在していた
活気と知性に満ちた場所でした。

アレクサンドリアは
学問を重視した街でもあったので
今でも名が残る大図書館があり、
一般階級の女性も学校に通い
職業に就くことを推奨されていたので
かの有名なクレオパトラも
高学歴であった理由です。

多岐の文化をベースに融合し発展した思想は
現代の欧米文化の基盤にも
大きく影響することになりました。

そんな古代文明での
知的文化のるつぼにおいて
錬金術の発達に貢献した思想こそが

アレクサンドリア建設から
100年以上遡った
古代ギリシャで生まれた物質観の
「四大元素思想」でした。

紀元前5世紀にエンペドクレスが言い出した
四大元素思想に

アリストテレスは
精神性や宇宙のエッセンすを表す
5番目のエレメントの概念を加えたので

正確には「五大元素思想」と呼べるもので
あったかもしれませんが

5番目の元素は
第一質料(プリマ・マテリア)と呼ばれ
全ての基本元素であり
とかく別格の存在とされ、
残りの4元素とは並べられないものでしたから
四大元素思想は四大元素思想のままでした。

アリストテレスは大自然の環境の性質には
{熱・冷}{湿・乾}の4つがあるとして

上記のように2つのグループに分類して
それぞれのグループから1つずつ、
計2つの性質を取り出して4通りに組み合わせ

それぞれとプリマ・マテリアをあわせれば、
四大元素の火、水、気、地が現われると考えました。

つまり、
プリマ・マテリアという物質が
2組の自然界の性質と組み合わさると
エレメントという物質になるという考えに至ったので

下記のような化学式が出来上がりました。

*プリマ・マテリア+熱+乾=火
*プリマ・マテリア+冷+湿=水
*プリマ・マテリア+熱+湿=気
*プリマ・マテリア+冷+乾=地

この古代ギリシャからの理論は
錬金術の基礎理念として受け入れられたので

古代アレキアンドリアの錬金術師たちは
黄金変成の可能性を理論として確信を持ち
信じて疑いませんでした。

つまり、物事のすべての基本が
プリマ・マテリアであるなら、

プリマ・マテリアを
あらゆる物質を変質させる
「賢者の石」にできるなら
四大元素のエレメントすら
変えることができるので
 
四大元素の組み合わせでできている
この世の全てを変成することは可能だから

卑金属を黄金に変成することも
可能に違いない、と考えました。

そして複雑な計算をして、
どのような物質を
どれくらい混ぜ合わせれば
黄金が変成されるか検証し、
数学的に数値を求めました。

当時の人にしてみれば、
疑いようのない四大元素の理論と
最新の科学と数学に基づいた数値が
間違っているはずはないと思われたので、

黄金変成は実現するべきもので、
間違っているとは思い至らなかったそうです。

それでも依然、
黄金変成が達成されなかったのは
材料に使った物質が不純だったとか
金属の溶融、蒸留などの作業に不手際があったとか
星座の位置がよくなかったかとか
言い訳にしか聞こえませんが
いちおう科学的に結論づけられていたようです。

現在となっては
「黄金変成なんてできるわけない!」という
シンプルな結論に至っているんですが

長年の錬金術的な試みの中で
人がコントロールできる化学変化を
「化学」と呼ぶ学問が生まれて

錬金術に深く結びつけられた
「元素・エレメント」という言葉も
現代化学における重要な専門用語の一部になりました。

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「四大元素思想」連載、続きます😃♪

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