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連載4・錬金術は科学だった!

そもそも「エレメント」や「元素」という化学用語は
鉛を金に変える試み「錬金術」発祥です。

文字通り、錬金術の目的は、
「黄金」を製造することに
あったとされています。

現代の物理学では、
卑金属を黄金に変えることは、
人間の力で
作り出すことができないほどの
大量のエネルギーが必要になるので
不可能とされてはいますが、

それでも古代から中世にかけて
錬金術師たちが可能だと信じた背景には
当時の彼らなりの
論理的な理由があったので

発端は、一応ちゃんと科学です!

錬金術の歴史を遡るには、
まず鉄器時代について
お話をする必要があります。

鉄器時代とはもちろん
人類が鉄を生産するようになった時代で

その始まりの時期は
地域によって異なりますが、
最も早かったと言われる場所は
今でいうトルコあたりで栄えた文明で
紀元前1500年から1800年頃といわれています。
(諸説あるので、歴史的考察は割愛させていただきます)

鉄は冶金師たちによって
鉱山から鉄鉱石が掘り出された後
熱が加えられて製錬されるものでした。

そして鉄器時代以前から
人類は大地や自然に対して敬意と信仰を持って
日々の生活は大自然の神々を
崇める気持ちを持っていました。

だから鉱山は多産、肥沃、豊穣をもたらす
大地母神の子宮であり、
金属は胎児と考えられたので

鉱山から鉄を掘り出す冶金師たちは
自分たちの仕事に誇りを持ち、
神聖な産婆の役目と考えて
宗教的儀式を執り行ったといわれています。

また、金属は、
鉄のような暗い色の未熟な卑金属から、
金のような明るい色をした完全な貴金属へと、
時間をかけて、
大地の子宮の中で成長すると思われていました。

つまり
鉱山から完全な金属である金ではなく、
未熟な金属である
鉄が掘り出される理由は

未熟な金属が鉱山の内部で完全な金へと成長する前に、
十分な時間を待たずに掘り出してしまったからだと思い、

長い年月を待てば、同じ鉱山でも、
鉄ではなく、
金が掘り出されるはずだったと考えました。

そして卑金属は
鉄→
銅→
鉛→
錫→
水銀→
銀→
金(貴金属)という段階を経て
大地の中で完成すると考えられたようです。

現代の化学の視点から考えると
突拍子もないように聞こえますが

母なる大地は生きていて
崇めるべき信仰対象だと考えられていた時代なら

その母が体内で育てるものは
時間と共に変化し成長する、というロジックは
筋が通っていない訳ではなく
それなりに、思考的な根拠があった
科学的理論があったと分かります。


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「四大元素思想」連載、続きます😃♪

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参考文献:
・David Rankine & Sorita d'Este
"Practical Elemental Magick"

・カシオピアかずえ
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