見出し画像

「美」の追求と継承 丸紅コレクションの着物(丸紅ギャラリー)

総合商社丸紅の本社ビルが建て直され、新社屋で業務を開始したのが2021年5月。新築にあたって、丸紅ギャラリーが新設され、丸紅が保有する染織品(きもの、帯、袱紗など)、染織図案、そして和洋絵画の3本柱から構成される美術品コレクションが展示されるようになった。
とはいえ、常時開館ではない。丸紅ギャラリー開館記念展I「日仏近代絵画の響き合い」は、2021/11/1-2022/1/31の開催だったが、あんまり露出が多いとは言えない状況で(わたしの感度が鈍かっただけか)、気が付いたら展示は終わっていた…そして次の展覧会は、と思ったら、なんと4ヶ月も休館、2022/6/7-2022/8/1の期間で丸紅ギャラリー開館記念展II「『美』の追求と継承 丸紅コレクションのきもの」が開催されるのも、新聞やネットで情報を見ることなく、自分で調べて知った状態。
あんまり話題になって人が来ても入りきれない、ということでひっそりやりたいのかな?、と思ってしまう。

丸紅ギャラリーは丸紅本社ビル(地下鉄東西線竹橋駅真上)の3階だが、ビルの外には全くギャラリーの案内は出ていない。商社のビルの入り口、不慣れな人がずいっと入るのは結構勇気いる。皇居を背にして右端にあたる部分に、3階に上がるエレベーターとエスカレーターがあり、その脇に小さく電子案内とポスターがあるだけ。3階には、丸紅ギャラリーとイタリアンレストラン「パレスサイドバル ヴェルテラッツァ」があった(丸紅ギャラリーのフロントに、レストランの割引チケットが置いてあった)。

丸紅ギャラリー入場券は500円。現金取り扱いなく、クレジットカードか電子マネーでの決済のみ。

ぴかぴかで明るい、広々とした空間!
これより先は撮影禁止なので入り口付近のみ。
ビルの中に入ったら、小さく掲示はあったけれど、外を歩いている人にはそこに美術館があることはわからない。

スペースは広くとられていて、中に入ると、壁面に丸紅の歴史と美術品収集の経緯が書かれている。美術品の展示スペースはそんなに広くない。そして、それなりに人が入っていて(年配の方が多くてお喋りしながらゆっくーり見ている)、だからあんまりPR出来ないのかな、とも思う。

今回の展覧会は文字通り着物の展示だけで、衣桁にかけられた着物が前期(7/2までだった)と後期(7/4から)総入れ替えで22点ずつ。点数は少ないがどれも興味深く、前期を見られなかったのが惜しまれる充実ぶりだった。時代的には江戸時代(一番古くて17世紀後半)から、昭和15年まで(この年に奢侈品等製造販売制限規則が発令され、贅沢な着物が作りにくくなった模様)。いやそれでも昭和15年まではこんなにゴージャスな着物も作れたんだな、とある意味感心。
贅沢な着物を見ていると、これだけの限られた大きさの布の中にどれだけでも贅沢な仕掛けをほどこせるのだ、ということに驚かされる。凝った鹿の子絞りとか、総刺繍とか、金糸で作った渦巻きが模様の上に載せられていたりとか、職人が技の限りを尽くした芸術品であることがよくわかる。現在から振り返っても、製法がわからない(と明記されている)着物もあった。
意匠も、源氏物語のイメージを図案化したものとか、富士の巻狩りの光景とか(ちょうどNHKの「100カメ」という番組で、大河ドラマの巻狩りの光景の撮影の様子を紹介していたのを見た後だったので、細部までまじまじと眺める)とか、でっかい獅子が立体的な刺繍で全面に何匹も配置されたものとか、昆虫の大名行列という想像さえしなかった図柄とか、西洋の光景とか、いや、なんでもありだなーと。

展示スペースは全部片面だけのガラスケースで(彫刻のように全角度からみられる四方型のガラスケースはなかった)、着物もすべて背面が展示されていて、ちょっと、前も見てみたかったな、と思ったり。

ミュージアムグッズは絵葉書、マステ、てぬぐい、チケットホルダーなど。入り口の手前に無料ロッカーあり。
会期中チケット半券の提示で2回目の観覧は200円引きのリピート割あり。

重要文化財「染分縮緬地菊青海波模様振袖」「染分練緯地雲取に柳模様小袖裂」は現在修復中ということで、今回は展示なし。また改めて展覧会が予定されている模様。

次回は丸紅ギャラリーの目玉収蔵品の一つであるボッティチェリの「美しきシモネッタ」を見てみたいものです。ウェブサイトに今後の展覧会予定が書かれていないので、忘れないようにたまに展覧会情報をチェックしなくては。

https://www.marubeni.com/gallery/


#美術館 #美術展 #丸紅ギャラリー #美の追求と継承 #丸紅コレクションのきもの #染分縮緬地菊青海波模様振袖 #美しきシモネッタ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?