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コミュニケーションと人間心理から現代マーケティングの本質を読み解く

「子供の頃からこんなの見てたら、神様の存在も信じるよなぁ」

以前、フィレンツェの大聖堂の前で、隣の友人に呟いたことがあります。

大聖堂にある聖母マリアの彫刻が、僕らを見下ろしていました。

本当に天界から僕らを眺めているように感じたのです。

すると、隣の友人は僕に言いました。

「は?全然思わんわ」

僕は視線を聖母マリアから友人の顔に移し、ため息混じりに言いました。

「感受性のないやつだなぁ」

僕と友人はフィレンツェの同じ石畳を歩きながら、別の世界を見ていたようです。


今になって、あの会話は人間の深い心理を表現していたなと思います。

自分が信じるものを、他人も信じているとは限らない。

これは当たり前のように聞こえて、実は大切な視点です。

スケールは違えど、コミュニケーションのすれ違いは、ほぼこれが原因なのです。


では、コミュニケーションのすれ違いをなくすには?


相手の信じていることを理解することです。

相手は何を信じ、何を望んでいるか。

それが相手の見ている世界を変える。


大聖堂の聖母マリアに、心が動く人間と、動かない人間がいる。

2人に響くメッセージは、当然変わるだろう。

これが現代マーケティングの本質とも言えます。

マスマーケティングが終焉した現代では、特定のマイクロマーケットをつかむ必要があるのです。

そのときに必要なのが、彼らの信じてること、望んでいることを理解すること。

あなたが信じていることを、彼らは信じていないかもしれない。

同じ世界に生きているようで、僕らは別の世界を見ているのです。

僕と友人が「別のフィレンツェ」を体験していたように。


あなたがつかむべきマイクロマーケットは、あなたと同じものを信じている人々が住んでいる場所です。

僕らは信じていることが違うからこそ、強力なブランドを築くことができる。

なぜなら、人と違う自分の価値観を肯定したいから。

自分の見ている世界(ストーリー)は、正しいと思いたいのです。

だから、彼らの世界を肯定しよう。

そうすれば、あなたは彼らに求められる。

そしてあなたのもとへ、人が集まるのです。

大聖堂に人が集まるように。

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