見出し画像

大腸がんのリスクを下げるためにできること

大腸がんは全ての「がん」の中でも罹患数がNo.1。日本人の10人に1人は生涯に一度は大腸がんになる、と言われています。[1] 

今回の記事では、少しでも大腸がんのリスクを下げるために、自分でできることはないか?について解説します。

大腸がんのリスク因子

大腸がんのリスク因子は大きく分けて遺伝的な要素と、生活習慣に関わる要素の2つに分けられます。

実際、大腸がんの約30%は遺伝的な要素が関与している[2]とされていて、血の繋がったご家族に「大腸がん」や「大腸ポリープ」の既往がある方には特に早いうちから定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めしています。

しかし、この遺伝的な要素に関しては、自分が気をつけてどうこうできるものではありません...

そこで重要なのがもう一つの生活習慣に関わる要素について。この後に示す生活習慣の改善は「唯一、自分自身で改善が可能な大腸がんのリスクを下げる行為」と言えます。

肥満(メタボ)と大腸がん

肥満は「大腸がん」のみならず、万病の元です。「BMI25以上」が肥満の指標とされていますが、厚生労働省による最新の報告では、日本人の実に4人に1人(26.3%)が肥満です...!![3]

BMIが1増えるごとに「大腸がん」のリスクは7~13%も増加することが報告され、[4]、アジア人の場合はBMI 23程度から大腸がんのリスクが上昇していくことも報告されています。[5]

肥満と大腸がんとの関連には諸説ありますが、一般に(皮下脂肪型より)内臓脂肪型の肥満が特によくないと考えられており、メタボリックシンドロームの診断基準にも「ウエスト:男性85cm以上、女性90cm以上」が内臓脂肪面積に換算して≧100㎠に相当する基準として盛り込まれています。

肥満は万病のもと。適正体重に収まるように食生活と運動習慣を見直しましょう!

飲酒(飲める体質かどうか?)

“酒は百薬の長”と言いますが、もちろん過度なアルコール摂取は身体に負担をかけます。

1日平均で1合以上飲む人は約1.4倍2合以上で約2.1倍の大腸がん発生リスクがある、との報告もあります。[6]
また、大腸がん以外にも、咽喉頭がん・食道がん・肝臓がん・乳がんとの関連も明らかになっています。[7]

飲酒は、主にアルコールと、その代謝産物であるアセトアルデヒドが身体にダメージを与える一因です。日本人はこのアルコールの代謝に関わる酵素活性が遺伝的に欠損・低下している人が多く、欧米人と同等量の飲酒でも発がんリスクはより高いと言えます。

具体的には下図に示すように2つの酵素の関与がわかっています。

スクリーンショット 2021-05-27 22.33.00

アルコールをアセトアルデヒドに変える「アルコール脱水素酵素(ADH1B)」と、アセトアルデヒドを酢酸へと代謝する「アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」。

この2つの酵素活性の高い・低いの組み合わせによって、大まかに下図のようにグループ分類できます。

アルコール遺伝子

Aタイプ:飲んでも赤くならないが、アルコールが体から抜けにくいタイプ。アルコール依存症になりやすい。
Bタイプ:いわゆる「ざる」タイプ。量も飲めるし、具合が悪くもならない。
Cタイプ:本当は弱い体質なのに、赤くなりづらく「自分は強い」と勘違いして「がん」や健康被害を引き起こす一番危険なタイプ
Dタイプ:飲むと赤くなるタイプ。弱い自覚はあるが飲みすぎるとCタイプと同様に「がん」や健康被害を引き起こす危険なタイプ
Eタイプ:いわゆる「下戸」タイプ。全くお酒が飲めないので、飲みすぎる心配はない。

飲みすぎないことはもちろん、自分の体質を把握して、体質に合った飲み方を心掛けましょう!

その他

今回は肥満と飲酒を「大腸がんのリスクを上げる2大要因」としてメインに取り上げましたが、この他にも下記の因子も報告されています

大腸がんのリスクを上げる生活習慣:喫煙、肉類(特に加工肉)の過剰摂取、糖尿病

反対にリスクを下げる生活習慣:運動習慣(週2〜3回)、野菜・果物(食物繊維)の積極的な摂取、身体にいい脂(青魚の脂やEXVオリーブオイルなど)の摂取

ただ、食べ物に関しては、何より自分自身が「食べること」がとても好きなので、あれ食べちゃダメ、これ食べちゃダメ、ってあまり言いたくないんです。

肥満にならないよう、「適正な体重をキープできる範囲で」極端に偏らない程度に好きなものを食べたらいいと思います。

美味しいものを永く食べ続けるためにも、定期的ながん検診を受けて、健康な胃腸を守りましょう!

まとめ

・肥満は万病のもと!「がん」も例外ではない
・飲酒は自分の体質を知った上で適度に
・美味しいものを食べ続けるためにも、内視鏡検診受けましょう

参考文献

[1] 国立がん研究センターがん対策情報センター. 最新がん統計. https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
[2] 大腸癌研究会. 遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2020年版. 金原出版. 2020.
[3] 厚生労働省. 令和元年国民健康・栄養調査報告. https://www.mhlw.go.jp/content/000711007.pdf
[4] Suzuki S, et al. Body mass index and colorectal cancer risk: A Mendelian randomization study. Cancer Sci. 2021; 112: 1579-88.
[5] Ning Y, et al. A quantitative analysis of body mass index and colorectal cancer: findings from 56 observational studies. Obes Rev. 2010; 11: 19-30.
[6] Otani T, et al. Alcohol consumption, smoking, and subsequent risk of colorectal cancer in middle-aged and elderly Japanese men and women: Japan Public Health Center-based prospective study. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2003; 12: 1492-500.
[7] World Health Organization. Global status report on alcohol and health 2018. https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/274603/9789241565639-eng.pdf?ua=1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?