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(144) ササのは べんとう

「ママー!」
おやつに かえってきた 信くんが さけぶと、ベランダから ママのこえが かえってきました。

ママは ぎっしり みどりのはが うわった プランターを ならべていました。

「にわのある ともだちから もらったの。ササのはよ」
「はなは さくの?」
「さかないの。でも、はっぱだけで いいのよ」と、ママは にっこりしました。

よくあさ、ママは パパのべんとうを つくっていました。

「ササのはを いちまい とってきて」

信くんは すぐに ベランダへ はしりました。おおきなはを 一まいとってきて ママにわたしました。

ママは はんぶんにきって、くるりと わのかたちにして、そのなかに
ポテトサラダを、もうはんぶんに きんぴらごぼうを いれました。

ササの葉弁当


「みどりって きれいだね」と信くん。
「でしょう?」ママは とくいそうです。

まいあさ、ごはんを ななめにつめたり、ほそながにつめて、まるい ギザギザホイルを いくつもつかって、おかずを つめていたのです。

「すてきでしょ。はい、800えん!」とおどけて、パパに わたして  いたのです。

「ホイルはやめたの?」と信くん。
「なるべくね。一かい つかって すてたホイルを つちにうめても、くさらないの。いつまでも のこって、ちきゅうが よごれて しまうんだって」
「ママは、しぜんなのが いいんだね」
「そうよ。ササは たべものを ながもちさせるの。ほんとは、じめんに うえたいの。プランターでは かれそうだわ。じめんが ほしいな」

パパのササべんとうは、しばらく つづきそうです。

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