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(140) 永久保証

もうひと月以上も、岡さんはある手紙を待ち続けていました。ことの起こりは2年前、街のアクセサリー店で、手作りのペンダントとブローチを買ったことにありました。

ブローチは初めてつけた日に、留め具が切れ、ペンダントの方は、愛用しているうちに、鎖が切れて地に落ち、塗りが割れてしまいました。

高かったのに、と惜しみながら、岡さんはそのまましまいこんでいました。
宝石箱を開けるたびに、七宝独特の色合いが目につきます。とても気に入っていたのです。
もう一度その美しさを生かすことはできないものかと、岡さんは手紙を同封して送ってみたのです。

永久保証


「厚かましいとは存じますが、修理不能でしたら、同じ型の似た色合いのものをお送りください。お代は後払いでお届けします」と。

ひと月過ぎても返事はありません。2年も前に手に入れたものだから、ムリもないわ、いっそ送らねばよかった、と苦い思いで諦めていました。

年が明け、年賀状に混じって、ふくらんだ封筒が届いていました。
封を切った岡さんは叫び声を上げました。新品同様の、あの七宝だったのです。

「都合で遅れてしまい、申し訳ありませんでした。七宝に寿命はございませんので、末永くご愛用ください。また何かありましたら、ご連絡頂ければと存じます。お気に召して頂いて幸いです。お代はどうぞご無用に・・」


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