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貴方にはこの花を贈りたい

私はこう見えて、花が好きだ。
お花屋さんに売っている切り花ももちろん好きだが、
その辺に咲いている、名も分からぬ一輪花が特に好きだ。
一体なぜそこで一生を遂げようと思ったのか、
花に聞いてみたい。

いや、好き好んでそこに咲いているわけではないのかもしれない。
本当は、コンクリートの隙間から咲きたいのではなくて、お花屋さんの切り花に憧れていたのかもしれない。
でも、その花はそういう運命だった。

もし、私が花だったら、絶対にお花屋さんにいない。
私は田んぼの脇に咲くヒガンバナになりたい。
高校生の時、通学路だった田んぼ道にヒガンバナが咲いていた。
いつも遅刻スレスレで、とても景色など楽しむ優雅な朝ではなかったのだが、ヒガンバナと桜だけは遅刻を覚悟して、見てから学校へ行っていた。
因みに、遅刻は一度もしなかった。(まじでギリギリ)

私が花を好きになったのは、見た目の美しさはもちろん、花言葉に興味を抱いたからだ。
花言葉というものを知ったのはいつだっただろうか。
確か小学生の頃。
当時、内気で友達なんていなかったが、母に
「子供は外で元気に遊んで来なさい」
とよく言われ、私は「私、友達いないよ」と母に告白する事はとても出来ず、「〇〇ちゃん(架空の人物)と遊んで来る」と伝え、公園に一人、四葉のクローバーを探しに出掛けていた。
だが、四葉のクローバーすらろくに見つける事が出来なかった私は、どうにかして四葉のクローバーを見つけたくて、ネットで「四葉のクローバー 見つけ方」と検索していた。

そしていつの間にか、四葉のクローバーの見つけ方ではなくて、花言葉に辿り着いていた。
よりによって、初めて知った花言葉がクローバーの“復讐”だった。
でも、美しい花言葉が沢山存在する事も知った。

例えば、赤いバラ。
赤いバラは、“貴方を愛しています”という花言葉だ。
バラは、色や本数によって花言葉が変わる。
私はけっこうロマンチストで、恋愛ドラマなど大好きだったので、バラの花束を持ってプロポーズしていたり、花言葉から花を選んで大切な人にあげたりするシーンが好きで憧れた。

私も誰かに花を贈りたい。
父には、白いバラを。
母には、ヘメロカリスを。
お兄ちゃんには、サルビアを。
大好きなあの人には、スノードロップを。

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