超短編小説 「手紙」
「拝啓、親愛なる君へ
元気にしてますか?自分はなんだかんだで充実してるのか、それともただ忙しいだけなのか分からない毎日を送っています。
そっちの生活はもう慣れましたか?もうそっちに住んでどれくらいになりますか?
結婚相手はどんな人ですか?可愛いですか?
料理は美味しいですか?尻に敷かれてないですか?
君が結婚すると聞いた時は大変驚きました。前に付き合ってた彼女と別れた時の君はとても落ち込んでいて声をかけるのがやっとでしたから。
でもきちんと乗り越えてくれたんですね。安心しました。
これからは奥さんを大事にして幸せな家庭を築いてください。
遠い場所から君の幸せを願っています。」
男は手紙にそう書き終えると同時に少し文字が滲んだ。
ティッシュを取り、鼻を噛むとキッチンに向かった。
新品のタバコを開け、火を付け、換気扇を回し、鼻から煙を出した。
少し甘い匂いが鼻を通ると久々の匂いだからか安心感を覚えた。
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