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【嘘と本当、あるいはひどく個人的な告白】

 二年半前、初めて出店した文フリで同じく初出店していた作家の浅生鴨さんと偶然隣のブースで、本を買ってもらったことをきっかけに小説を書かせてもらったりカバーイラストを描かせてもらったり美味しいお菓子を食べさせてもらったりしている……という嘘みたいな話を信じている人は、一体どのくらいいるのだろうか。

 いや、本当のことではあるのだが、僕の人生は、嘘みたいなことがわりと平気な顔をしてずけずけと起こる。他の人生をやったことがないので普通がどんなものか分からないが、周りの反応を見る限りよく起こる方、だと思う。いろんなことが起こるし、頭のおかしい(よくも悪くも)人によく出会う。

 人は、「物語の登場人物が実は存在する」という情報が好きすぎると思う。以前、僕が勧めた本を読んだ母が「これって~は実在するみたいだけど、~とか~はどうなの?」とやたらフィクションと現実の境を気にしているのがなんだか新鮮で、印象的だった。だから、この本を作ることにした。

 これは3のエピソード、7のツイート、14の雑学(名前の由来、民間信仰、不思議な生き物、等の情報を含む)、3人の日記より成り、構成を助けるためのいくつかの冗談、3つほどの告白、多少の脚注及びたまのてんやわんやを含む、ある嘘と本当の本だ。

 この本の半分は嘘でもう半分は本当で出来ている。嘘みたいな本当、本当みたいな嘘、嘘っぽい嘘、本当らしい本当。どこからがフィクションでどこまでが現実か。それは誰にも分からないし、その真偽を確かめるような暇な人間はいないと思いたい。
 忘れないでほしいのは、僕はフィクションと現実の境を気にする人を、ちょっと小馬鹿にしてるってことだ。
 ここに出てくる人間はどこまで実在するのか、執筆者はどこまで本物か。果たして「よなかくん」なんて人間はいるのか。そんなの。


 どっちでもいいと思わないか。   

(「はじめに」より)

*****

 そんなわけで、嘘と本当の本を作りました。嘘と本当の本であり、秘密の本でもあり、隠された告白の本でもある。かも。しれない。
 僕はこういうのが、とっても好きです。


 もちろん今回も凝りもせずに手製本。今回は仮フランス装、スピンつき、カバーはクラフト紙で見開きデザインです。かわいい!
 …しかし製本技術が上がりすぎて、なんというか、ただの、本、になってしまったな…これきれいに作るのすごい大変なのに…なんかすごい普通の本になってしまった…かわいいのだけど…

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 そんなこちらの本、京都文学フリマに出す予定だったのですが、感染拡大状況を鑑みて、参加を見送ることにしました…が!代わりに!なんと!渋谷PARCOのこちらのイベントにて既刊本(ぼくのあお4、両A面シングル)、ノートと合わせて売らせていただくことになりました!!パルコで二週間!わぁ!すごいすごい!

 鴨さんの仕事机の端っこでこっそり売らせていただきます。僕はとりあえず初日と、その後は様子見ながら参加出来ればと思います。通販はイベント後、オープン予定です。よろしくお願いいたします~。



~中身ちらり~

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