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【求職者の福音】みんなみんな生きている

どうもよなかくんです。
半年ぶりに美容院に行って「伸ばしていきたいんです」と言ったら「短い方が似合いますけどね」って言われたんですけど、え、そんなこと言われることってある?僕もそう思うけども。

さてさて、よなかくんと月曜の理屈
第一二九回は「みんなみんな生きている」
文学フリマ東京で出す既刊本紹介です。

第一二九回 みんなみんな生きている

 たとえば、電車で隣に座ったサラリーマンが何を考えて生きているか、とか。知りたくないですか。僕はとっても知りたいです。ということで↓

 この世界に何億人といる人たちが同じような経験—たとえば受験とか卒業とか就職とか―をしても、それぞれが違うことを感じ、違うことを考え、自分の人生を選んで、生きている。そんな当たり前のことを雑踏の中でふと思い出す時、なんだか宇宙にひとりポツンと浮かんでいるみたいに孤独で、それでいてその果てしなさにドキドキしてしまう。
 ソワソワして、ドキドキして、全部を知ることが出来るわけでもないのにその一つ一つを詳しく知りたくなる。

 世の中には著名人の生い立ちだとか、誰それのライフハックだとか、話題のあの人の思考法だとかがあふれているけれど、それってみんな社会的に何かを成し遂げた人たちの物語であって、それはそれで面白いのだけど、僕はもっと所謂「ふつうの人」たち、自分のすぐ隣にいるような人たちが何を考えているのかを知りたい。CEOが有意義な時間を過ごすための朝の習慣より、学校事務員が今も熱烈に中学の時の先生に恋している話だとか、ふつうの学生が就活する時に叔母さんから届く小包のことを思い出した話だとか、その小包には切手がベタベタ貼られていたとか。社会からすればあまりにも些細な、そんな話が好きだ。

 今回の本のはじまりは就活の面接会場でずらーっと均一に並んだ就活生たちを見た時に、彼らは一体この状況を、この面接をどう思っているのだろう?働くということについて、どう考え、どう決着がついたからここに来たのだろう?と思ったことだった。
 そこからいろんな職種に内定した/働いている人たちに話を聞きに行った。仕事選びの話、実際の仕事内容や就活の実情にお金のこと、学生時代、幼少期のエピソードまで。彼らが一体何を考え何を選んできたのか。
就活を軸に話を聞くと、その人の人生観が少しだけ、見えたような気がした。人はみんな何かしら考えて、生きている。それだけのことが、一体どうしてこんなにも面白い。

 話して聞くだけでも十分に面白かったことを本にまとめたかったのは、みんなみんな生きているのだという当たり前の、でもすごく感動的な事実を、誰かに伝えたかったからだ。そしてそれは何より、僕自身がすごく読みたいものだったからでもある。

 これからもいろんなテーマを掲げてまたいろんな人に話を聞きに行く。何を考え、何を楽しみ、あるいは憎み、生きているのか。それは全く面識のない偶然出会った誰かかもしれないし、近しい誰かかもしれない。

だって僕たちは、卒業式の間隣に座っていた同級生が何を考えていたのかすら、知らないのだから。

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そんなわけで求職者の福音、11月文学フリマ東京にてリニューアルして再販します。よろしくお願いします。

20201125追記:通販サイトオープンしました!↓からご購入いただけます!

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#文学フリマ東京 #エッセイ