微睡の停泊

絶え間のない眠気に誘われて、ゆうらりゆうらり船を漕ぐ。果てのない水平線の向こう側。夢の名残りの夕暮れが泥む。
終わらないで、世界。
慰めみたいに歌った貴女の声が聴きたくて。空にそっとカモメが飛んでいる。

真っ赤な光が水面を染め上げ、私たちは口付けを交わした。反故にした約束も、枠組みに収まったままの物語も、たぶんきっと虚構なのだ。
ただ、決められた道をなぞり歩く。繋いだと思われた手は果てもなく、ひたすらに。

ーーーー貴女を待っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?