茶髪_後ろ姿

病と恋愛事情 八話 夢

勝が帰ったあとの後片付けを済ませ、布団に入った。すると、そのまま眠り夢を見た。そのなかに出てきたのは、俺好みの若い女だった。思い出すと体が反応した。

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 友人の勝が帰ったあと、俺はテーブルの上に置いてあるコップ一個とビールの空き缶一つとペットボトルのオレンジジュースを片付けた。

それから今まで勝と一緒にいた場所の反対側に敷きっぱなしの布団に服のまま寝転がった。俺は疲れている時、たまに着替えもせずにこういうことをする。だらしないとも思わないし、布団が汚れるとも思わない。母には同居しているころ口うるさく言われたが。

俺はそのまま眠った。そして、ある夢をみたーー
 
 それは、初めて入った居酒屋で俺は独り、酒を飲んでいた。時刻は二十三時を過ぎたころ。そこに、若い女が上下赤いコーディネートでミニスカートをはいている。茶色く長く伸びた髪は背中まで垂らしている。俺は思わず欲情した。その女は初めて見るが、俺のタイプだった。そして、笑みを浮かべながら俺の隣の席に座った。

 そこで目覚めた。また、浅い眠りだった。だから、今見た夢はしっかりと覚えている。一体、あの女は誰なんだ。それにしても好みのタイプだったなあ。あんな若い女といつか出会わないかなあ。それは、ないか。俺は思わず嘲笑した。

 枕元にある置時計を見ると六時半前だった。目覚ましはいつも六時半ジャストにかけてある。最近は、目覚ましの役割が果たされていない。まるで、置物のようになっている。

 少しだけ、気分が軽い。勝が来て、話したお陰なのかな。これが女だったらもっと違うかもしれない。その時、夢に出てきた若い女のことを思い出した。体の中心部分がじん、と痺れるのがわかった。統合失調症を発症してから約七年。俺は本当に回復してきているのか。回復してきているなら、数時間前のあの強い不安感は一体なんだったんだろう。そうこうしている内に目覚まし時計のジリリリッ! というけたたましい音が部屋中に鳴り響いた。俺は考えごとをしていたのでその音にびっくりした。慌てて止めて、俺は立ち上がった。

「今日も仕事に行かなくては」
俺は自分に喝を入れるかのように言葉を発した。
「目標は小説家になって、結婚して子どもを作ること!」
再び、声に出して言った。すると、不思議と気分が明るくなった気がする。
年齢は人生の折り返し地点だが、まだ諦めるわけにはいかない。
明るい未来であることを信じて、これからも頑張らなければならない! と強く思った。

 俺は支度を始めた。八時三十分までに出勤しなければならない。ご飯を炊く余裕がなかったので、少し早めに職場に行ってパンでも買おう。

 支度を終えた俺は、八時前に家を出た。

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