見出し画像

自己流切り離し術〜司法試験受験で得た「他人事」能力〜

目の前のこと、自分個人を切り離す能力って大事じゃなかろうか、という話です。

この能力を習得するのは、かなり個人的に辛い経験を乗り越えた後でした。

人生30年以上生きていると、色々と辛いこともありますが、凝縮して辛かったなぁ、と言えるものの1つが司法試験です。

運よく2回目で合格できましたが、失ったものも多かったです。得られたもののの1つが、その後の弁護士としての仕事にも役立つ「他人事」能力かな、と思うので、それについて書きたいと思います。

きっかけはこちらのツイート

こちらのnoteで挙げられていたのは、カウセラーの例でした。読んだときに「クライアントの辛い経験を聞いても、それを家庭に持ち込まない、又はすぐ切り替える」というのは弁護士も同じだなぁと思った次第です。

司法試験を経て得た気づき

私自身も、受験を思い立った時にあまり知らなかった司法試験ですが、かなり難しそう、というのはご存知かもしれません。

4日間も試験がある、というだけでも過酷なのですが、一番辛いのは、受験期です。

私は24歳から28歳まで受験生をしていたのですが、そのうちロースクールにいた3年間は、朝7時から夜の22時、23時くらいまでひたすら勉強をしていました。

試験内容が過酷、学部の同期が社会人になって(傍目から見ると)楽しそうに働いている中親の脛を齧っていることの罪悪感、そして不合格の8割になったらどうしようという不安感に押しつぶされそうな時、1つの気づきに至りました。

それは、「人の辛さは、あくまで個人的なものだ」という至極真っ当な心理です。

すごく冷たい言い方になるかもしれないのですが、私の辛さは、私だけのものなので、他の人にとっては「他人事」なのですよね。だから、私が一歩進まない限りは、誰がどんなに応援してくれても、何も解決しない。

これと同時に、自分のキャパを超えた出来事について、特に辛すぎることについては、「忘れる」という能力がいつの間にか身についた気がします。これは全く意図的ではなく、本能的に身体が覚えていることを拒絶した、と言うのが本当のところだったのではないかと💦ですので、あまり再現性はないのかもしれません。

弁護士に必要な「他人事」能力

仕事でどんなに辛い話を聞いても、全く影響を受けない、というのは、正直難しいです。

でも、あくまでも「他人事」と線引きができるかどうかは、非常に大切だと思います。

これは私見ですが、なぜ依頼者が、わざわざ弁護士に頼むのかというと、自分自身ではできない交渉を行ってもらう、代理人だからだと思うのです。それが代理人の存在意義という意味からすると、あくまで代理人でしかない弁護士が、依頼者と依頼者と同化してしまうことは違うかな、と思っています。

具体的に言うと、依頼者の話を受容しつつも、他人だからこその客観的な視点と、法的知識を駆使して、考えうる最適な解決への手助けをすることが求められていると思います。

と、するならば、やはり弁護士は、依頼者がどんなに辛い状況に置かれていても、状況の理解と受容はしても、あくまで「他人事」として距離を置いた見方を持たなければならないと考えています。

そして、「他人事」と線を引けるのであれば、そのまま自分の心に留めてぐるぐる考えてしまうのではなく、一旦脇に置いて置けるのではないのでしょうか。

とは言いつつ、DVから逃げてきた依頼者の話を聞いていて、思わず涙してしまったこともありますし、依頼者のことを考えて夜も眠れなかったことはあります。ただ、上記のようなことを本分としなければならないという想いを持っているので、折れずにいられるような気がします(ある意味同化した方が感情的には楽だと思いますが。。)。

判断を一旦置いておくと言うこと

以上のような、司法試験受験と弁護士としての経験を踏まえて考えると、「一旦置いておく」、と言う時に私が使っているスキルは、「他人事」として切り離す能力と、「これキャパ超えそう」と思った時に一旦忘れる能力である、と言えます。いずれの能力も、かなり心身ともにきつい経験(私の場合は司法試験受験)で習得した能力ではありますが、いわゆる修羅場体験を経験された方であれば、共感いただける方がいるかもしれません。

 また、判断に迷うような時は、同時にネガティブにもなりがちなので、前のnoteに書いたようなことも同時に考えていると思います。

ちなみに、他の方もツイートされていたかと思いますが、忘れた後に、また思い出せる保証はありません笑。私も自分の記憶力を全く信用していないので、Googleカレンダーやメモなど、あらゆる外部記憶を活用しています。

柴田さんの問いへのお答えになっているかは不明ですが、自分の考えたところは、こんな感じです。




サポートありがとうございます!