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【Endeavor Article】史上最もグローバル化した2024年のミダス・リスト

ベンチャー・キャピタルはグローバル市場になりつつあります。それは投入されてきた資金額、10億ドル以上のスタートアップ企業、そして今年のForbesのミダス・リスト(※ベンチャー・キャピタリスト ランキング)をみれば理解できるでしょう。
 
現在、VC資金の50%以上が米国以外で運用されています。ルールベースの共同投資ファンドであるエンデバー・カタリストの取り組みを反映した統計は驚くべき変化を示しています。2003年時点では、世界のVC資金の約90%が米国内で運用されていました。つまり、米国以外の市場シェアはわずか10%だったということです。
 
2013年までに米国外で運用されるVC資金の割合はおよそ30%まで増加し、昨年2023年にはその割合は60%まで上昇しました。この変化は、中国、インド、ラテンアメリカにおける、数百のユニコーン企業と数十のIPOの成長、伴うベンチャー・エコシステムの劇的な台頭によって推進されてきました。

至るところで誕生するユニコーン企業

我々は12年前、エンデバー・カタリストを設立し、最初にラテンアメリカとトルコへ投資しました。当時我々は新興市場に拠点を置く少数のエンデバー起業家の企業を支援し、10億ドル以上のビジネスを構築することを夢見ていました。

2013年当時は、Aileen Leeが最初に”ユニコーン”という言葉で企業価値10億ドル以上の企業を示し始めた頃で、世界中にユニコーン企業はわずか39社しか存在しておらず、その全てが米国に拠点を置いていました。今日はというと、世界には1,300社以上のユニコーンが世界中に溢れており、そのうち51%が米国、17%は中国、6%はインドに存在しています。

エンデバーにとって注目すべきは、世界のユニコーン企業の 26% が「世界のその他の地域」、つまり主にヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、アフリカ、その他のアジア諸国にあることです。

エンデバー・カタリストでは、当初の夢をはるかに超えて、新興市場のユニコーン企業約 50 社を支援し、投資してきました。その結果、当社は米国、中国、インド以外で 10 億ドル以上のユニコーン企業に最も投資している第 1 位の投資家となりました。

これをエンデバー・カタリストのポートフォリオ設計に当てはめると、当社は 30 カ国以上で 300 件以上の投資を行っており、ポートフォリオに含まれる企業の 6 社に 1 社が現在ユニコーン企業となっています。投資先企業の中には、当時インドネシア最大規模のIPOとなった”Bukalapak”、Zyngaに20億ドル近くで買収されたトルコのゲーム会社”Peak Games”、ブルガリア発のユニコーン企業”Payhawk”など、素晴らしいビジネスのケーススタディとなる企業が含まれています。これらの企業は、成功事例は世界中のどこからでも生まれる可能性があるということを示してくれています。

ミダスリスト・インサイト

世界のベスト・ベンチャー・キャピタリスト・TOP 100 を毎年発表している”Forbes” ミダス・リスト 2024年度版を分析すると、非常に興味深い傾向を見ることができます。今年のミダス・リストを見て驚いたことは、Reid HoffmanNicolas Szekasy のようなエンデバーの取締役がリストに載っていたことです。
 
またアルゼンチンでE-ラーニング企業 “AXG Tecnonexo”を設立し、現在は”Emergence Capital”のジェネラルパートナーを務めるSanti Subotovsky氏や、数年前に南アフリカでエンデバー起業家に選出され、その後ベンチャー・キャピタル企業 “Entrée Capital”を設立したAvi Eyal氏など、エンデバー起業家からキャピタリストに転身した人々がランクインしていたことも興味深く感じています。

しかし、さらに深く掘り下げてみると、さらに重要なことが明らかになりました。リストに載っているベンチャー・キャピタルの約30%は米国外に拠点を置いており、注目すべき取引の30%以上も国際的なルーツを持っています。UI Path(ルーマニア発祥)、Bytedance(中国)、Flipkart(インド)、Canva(オーストラリア)、Coupang(韓国)などの企業は、いずれも今年のミダス・リストにランクインしている様々なパートナーを獲得した企業です。実際、ブラジルのNubankは今年のリストで「注目すべき取引」として6回もリストに入っており、これは他のどの企業よりも多く登場しています。

ベンチャー・キャピタル業界のトップにいる人材は間違いなくグローバルで活躍しています。今年のミダス・リストのトップ 5 の投資家は全員米国外で生まれました。しかし歴史的に見ると、世界最高の企業に投資するチャンスを得るためにシリコン バレーに移住することは珍しいことではありませんでした。

今年のミダス リストを見ると、状況は変わりつつあります。人材はこれまでと変わらずグローバルですが、投資機会は、VC の有名な「異例の」成功事例を生み出すということも含め、ますますあらゆるところに存在しています。

エンデバーでは、今後数年間で資本の分散化が進むにつれ、このような事例が増えると予想しています。10年後には、世界のトップ投資家の半数以上が米国外で生活し、働いており、上位5件または10件の取引がすべて米国以外で行われる、というミダス・リストが誕生するかもしれません。

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