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真実 編

翌日、部活に顔を出すと何やらAとBがスマホを見て楽しげに笑っていた。


「どうした?
何か良い事でもあったか?」

「そうなの!ねぇ、見て見て!
これ面白くない?」


AがBと見ていたであろう、スマホの画面を見せてくる。

そこに映っていたのは、Aが拾い画で作ったであろう別の女になりすましたTwitterのアカウントでDMのやり取りしてる画面。


「見てこれ!T君の写真欲しい❤って言ったら、ウチと撮ったプリクラを切り取って送ってんだよ?wヤバすぎw」

「こわw」


こんなあからさまなのに騙されるアホもアホだが、仮にもアレだけ別れる事を渋っていた男をくだらない見せモノにするなんて。

この女、案外したたかで性悪である。
その友達のBも相当だ。

安心して欲しい。
こいつらの本性などとうに知っていた事だ。

そしてバカなこの女は、ちゃんと俺が誘導した通りに選択を「間違えてくれた」。



そもそも、別れる事を渋っていた女が突然別れを切り出したのは何故か?

実はこの物語には、裏舞台に隠されたキーパーソンが「1人」存在する。

彼はAとTが組んでいたバンド内で、ベースを担当しているK。

俺はTとも仲の良かった彼が、密かにAに想いを寄せている事を知っていた。

そしてある日「偶然」Kと二人になった時に、俺は話を持ちかける。


「K君ってAの事好きだよねぇ」

「え、それってどういう…」

「まぁまぁ。今から言う事は独り言だけど、皆には内緒だよ」

「AとTが付き合ってる事は皆が知ってるよね。でも二人はあくまで依存関係で、お互い好き合ってるカップルってワケじゃない」

「幸い、二人の仲にはもう亀裂が入ってギリギリ保っている状態。それなら、君が「代わり」になればいいんだよ」

「あの子は「充実してる」と周りに思われる彼氏という肩書きが欲しいだけ。傍で見てるならこの意味、分かるよね?アプローチするなら今だろうなぁ」


Kはその話を顔を俯かせて聞いていたが、最後にはこちらを見て「詳しく話を聞かせてくれ」と言った。

契約成立。

その後俺はタイミングを見計らってKに優しい言葉をかけさせて、会話を続けるコツを教えた。

その結果、彼の望み通りにAはKの事が好きになり、鞍替えするために別れる頃合いをずっと見計らっていたのだ。

つまり、どういう事かって?

そもそもこの事件を引き起こしたのは、今この話を書いている「俺自身」って事。


目的は1つ、俺が求める「理想の学校生活」を守るためにTを排除する事。

2つ、AとKの願いを叶える代わりに、犠牲を払ったその「対価」を払ってもらう事。

3つ、ついでに今回の件で2年メインのイキリクソ野郎グループを抑制できたら、きっとH先輩のためにもなるよね❤

の、以上3つである。


最後までこのふざけた舞台の上で笑って立ち続けているのは、この俺ただ一人。

つまらない話を聞いてくれてありがとう。

楽しんでくれたかな?
それは良かった。


あー……対価を支払ったAとKの二人が、この後どうなったかって?

それは、ナ・イ・シ・ョ❤

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