見出し画像

「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」についてまとめてみた #240

 職員室の先生向けに書いていきます。自分なりの解釈なので、間違っているところもあると思います…。しかし、書く!
 
 次年度の校内研のテーマに、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」という文言が入りました。私は、内心、よし!と思いました。もう一斉一律教師主導の授業を先生方が捨てるにはきっかけが必要だと思っていました!私は異動ですが、今年度孤軍奮闘してきたことを年度末に勉強会を開き伝えたいと思います。まずは、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」とは?について、知りたい人が多いと思うので、整理したいと思います。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01542.html

1.「個別最適な学び」とは

①指導の個別化

 全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うこと。

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

つまりは、

  • 一律一斉ではなく、C児にも重点的・効果的に指導をすること。

  • 色んな子に合わせた指導方法、教材、単元計画を提供すること

ということですね。ここからは個人的解釈ですが、

  • 教材研究をして教材を一つ準備するだけではなく、教材セットを複数準備することやそれを子どもたちに選ばせること。

  • 自分で学びを進める子、教師と一緒に進めていく子が同時にいること。

  • 単元を4時間で終わる子もいれば、7時間かかる子もいるということ。それぞれの子に合わせた単元計画をマネジメントすること。

「指導の個別化」は一定の目標を全ての児童生徒が達成することを目指し、個々の児童生徒に応じて異なる方法等で学習を進めることであり、その中で児童生徒自身が自らの特徴やどのように学習を進めることが効果的であるかを学んでいくことなども含みます。ICTを活用することで得られる新たなデータも活用し、きめ細かく学習の状況を把握・分析したり、個々の児童生徒に合った多様な方法で学んだりしていくことで、確実な資質・能力の育成につながっていくことが期待されます。また、学習履歴(スタディ・ログ)、生活・健康面の記録(ライフログ)等、児童生徒に関する様々なデータを可視化し、学習方法等を提案するツールなど、新たな情報手段の活用も考えられますが、そのような新たな情報手段の活用も含め、児童生徒が自らの状態を様々なデータも活用しながら把握し、自らに合った学習の進め方を考えることができるよう、教師による指導を工夫していくことが重要です。

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

ただ学習内容を習得していくのではない。
学び方を学ぶこと
・自分に合った学び方を知ること(メタ認知!)

教師に求められるもの
・学習状況の把握=教師の見取り力!見取れるシステムにする。
学習の進め方を子どもたち一人一人に提案する力
・教師の役割は、教えるのではなく、学びをサポートする役割になる。

②学習の個性化

 基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

 つまり、教師は、子どもたちが学びたいものを選んで学べるように調整するということです。学習内容に子どもを合わせるのではなく、子どもに学習内容を合わせるということですね。

 「学習の個性化」は個々の児童生徒の興味・関心等に応じた異なる目標に向けて、学習を深め、広げることを意味し、その中で児童生徒自身が自らどのような方向性で学習を進めていったら良いかを考えていくことなども含みます。例えば、情報の探索、データの処理や視覚化、レポートの作成や情報発信といった活動にICTを効果的に使うことで、学びの質が高まり、深い学びにつながっていくことが期待されます。また、児童生徒がこれまでの経験を振り返ったり、これからのキャリアを見通したりしながら、自ら適切に学習課題を設定し、取り組んでいけるよう、教師による指導を工夫していくことが重要です。

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

つまり、 
 ・子どもそれぞれに、目標が違う
 ・子どもがそれぞれ課題と進め方を決める
 ・そのために、教師は指導を工夫する(今までの工夫とは全然違う
ということですね。

個人解釈ですが、

・教師が決めるのではなく、子どもと決める
・教える→子どもの学びを支える

ということだ。

2.「協働的な学び」とは

探究的な学習や体験活動などを通じ、子供同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

「個別最適な学び」と個別学習と勘違いする人がいます。自習ではありません。「*個別化された学び」の条件の一つとして、他者との協働は欠かせません。子どもたちが同じ学習目標を追求するために、他者との関係を通じてアイディアを構築していくことを意味します。その仲間意識が子どもたちに本当の力を与えます。「個別化」という言葉を使っていますが、他者との関わりは必須ということです。

*『学びの中心はやっぱり生徒だ!~「個別化された学び」と「思考の習慣」』(新評論)

3.「一体的に充実」するとどうなる?

その際には、児童生徒の資質・能力育成のため、各教科等の特質に応じ、地域・学校や児童生徒の実情を踏まえながら、ICTを活用した新たな教材や学習活動等も積極的に取り入れつつ、それにより実現される新しい学習活動について、「個別最適な学び」や「協働的な学び」の充実に効果を上げているか確認しながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくことが期待されます。このことを通じて学習指導要領前文に記載されている「一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう」に育成していくことが求められています。

2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省 (mext.go.jp)

 つまり、 
 実態に合わせて、ICTを積極的に取り入れ、一体的に充実されていけば、主体的で対話的で深い学びの実現改善につながっていくということですね。

4.評価

 「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」を突き詰めていくと、もちろん評価の在り方も変わります。児童それぞれに目標が違うわけなので、評価規準もそれぞれにある方がいいです。テストも、選べる方がいいです。しかし、これはなかなか難しい…。
 せめて、テストを受けるタイミングを自分で決められるようにはしたいです。
 そして、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」と総括評価重視は相性が悪いです。形成的評価に重点を置いていく必要があります。

教師は、授業を進めていくなかで、児童生徒たちを注意深く観察したり、質問したり、あるいは簡単なテストを実施して、学習の成立状態を確認、把握しようと努めます。この確認、把握作業が「形成的評価」であり、これを行うことにより、児童生徒の取り組むべき学習課題を個別に指示し、学習の進展を図ることが可能になります。

「形成的評価」とは?【知っておきたい教育用語】|みんなの教育技術 (sho.jp)

 これはまさに、これからの学びの形における教師の動きと同じです。総括評価をして、おしまいじゃ、子どもたちに力がつかないです。どちらに力を入れるか?もちろん、形成的評価です。

 また、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」において大事なことが、子どもたちが「自ら学びを調整する」ことです。どれくらい理解しているかという内容の理解もそうですが、この調整がうまくできているかを自己評価することやその自己評価と教師による他者評価にどれくらいの差異があるかを考えることも求められます。これはまさにメタ認知。毎回の授業で自分の学習をふり返り、自己評価をすることや、単元全体を学習し終えたときに、単元全体での自分の学びをふり返り、自己評価することが大事であると思います。

5.いろいろな実践例がある

 書籍がたくさん出ていて、実践例もかなり増えてきました。

・子どもが先生役をする授業
・子どもが選択する場面が多い授業
・子どもが単元を作る授業
・子どもが評価基準をつくり、自己評価をする授業
・単元内自由進度学習
・教科内自由進度学習
・全教科内自由進度学習
・一斉授業の間にいくつかの自由進度学習が入る単元
・授業の中に、何分間か自由進度が入る授業
・関連する複数教科同時進行の自由進度

 細かく紹介するほど、知っているわけではないので、割愛しますが、チャレンジしたいところから始めるのがいいと思います。私もそうでした。

 すべてのやり方に共通することは、「急にはできないが、焦らない」です。

  • 少しずつ子どもがチャレンジする部分を増やしていくこと。

  • 失敗して当然。失敗を価値づけ、失敗から学ぶマインドをもつこと

  • あきらめないこと!

  • 簡単なやり方に逃げないこと

  • 自分で決めた本当に大事なことを見失わないこと

  • 子どもの力を信じること

  • お互いに見合う。上手くいっていないことを言い合う。積極的に見てもらう

例えば、
「その時間ですべての子に理解させること」よりも「自分の力で最後に分かるようになった」方が大事。
「失敗させないように支援する」よりも「失敗を乗り越えるサポートをする」方が大事。

焦って行うその手立てが子どもの成長を奪うこともあるということです。

6.私の実践例

 私は、「子どもに学びを渡すこと」をテーマにしていたので、どの方法なら、子どもに学びを渡していけるかを考えました。

今振り返ると、このように取り組みが変わっていきました。

①一斉授業で学び方を学ぶ。
②子どもに先生役を渡す。
③グループに授業を渡す。
④自分で学び方を選ぶ。

同時に「行事」や「クラス」のことも、渡していきました。
それぞれ、noteのバックナンバーに記事があります。

3学期は、国・算・社は一斉授業をほとんどしなくなりました。
単元初めのミニレッスン。
同じつまづきがある人を集めてのレクチャータイム。くらいです。

 それでも、単元の最後にはほとんどの児童が、教師主導の一斉一律授業をしていたころと変わらないかもしくはそれ以上の理解度を見せます。もちろん、例外はあります。最後まで分からなかった子には、根気強く教えましたが、テストで点を落としました。身に付いた自信は比べ物になりません。自分たちで学べたわけですので。

子どもたちにも聞いてみました。

子どもたちにアンケートを取りました

 それぞれの詳しい実践については、勉強会のときにお示しします!


以上、エンチャントでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?