毒語「教室マルトリートメント」に学ぶ
(知り合いの先生が書いた文章をかなり引用させてもらっています。)
子どもにあまり使いたくない言葉というのがあります。
川上康則「教室マルトリートメント」東洋館出版、2022には、そのような言葉を「毒語」という刺激的な言葉で載せています。
「毒語」
は、子供によっては不安や恐怖に陥れ、トラウマをもたせる可能性があると川上氏は述べています。
例えばこんな言葉だそうです。
1 質問形式で問い詰めるような毒語
「何回言われたら分かるの?」
「どうしてそういうことするの?」
「ねぇ、何やってるの?」
「誰に向かってそんな口のきき方をするんだ?」
2 本当の意図を語らずに、裏を読ませるような毒語
「やる気がないんだったら、もうやらなくていいから」(→本当は「やりなさい」)
「勝手にすれば」→本当は「勝手なことは許さない」)
「あなたの好きにすれば」(→本当は「言うことを聞きなさい」)
3 脅しで動かそうとするような毒語
「早くしないと、○○させないから」
「じゃあ、○○できなくなるけどいいんだね」
「もうみんなとは○○させられない」
最後の脅しで動かそうとする言葉は、こういう言葉でなくてもつい使ってしまっている事があるように自分でも思います。
「早くしないと〜」「〇〇できなくなるけどいいね」なんかは、簡単に使ってしまいそうです。
川上氏はこう言っています。「指導的な立場にある大人は全て、自分の発する言葉一つ一つに、もっと敏感にならなければなりません。」本当にそう思います。言い方一つで、やる気になったり、やる気が無くなったりします。
例えば、当番をやっているか微妙な子に対して
「〇〇当番やってね。」
というのと
「〇〇当番、大変だけどよろしくね」
というのでは、全然違います。当番を確認したいという意図と機能は同じですが、やろうとしていた子に対して前者は「いまやろうとしてたんだよ!」という気持ちを起こさせる気がします。後者ならば「なんか頼りにされているなぁ」という感じがします。些細なことですが、大きな違いです。まあ、分かっていてもとっさに出るかと言われると、私も自信はないです。
4 虎の威を借るような毒語
「お母さんに言うよ」
「お父さんを呼ぶよ」
「校長先生に叱ってもらうから」
5 下学年の子と比較するような毒語
「そんなこと1年生でもやりません」
「そんな子は1年生からやり直してください」
「保育園(幼稚園)に戻りたい?」
6 指導者側に責任がないことを強調するような毒語
「ダメって言ったよね」
「もうやらないはずだったよね」
「さっき約束したばかりだよ」
7 見捨てるような毒語
「じゃあ、もういい」
「さよなら」
「バイバーイ」
これ言ったことあるなー、という言葉たくさんあります。なんでこんなこと言ってしまうのでしょうか。川上氏は、このように言っています。
「毒語が出てしまう背景には、必ずと言ってよいほど大人側の「焦り」があります。毒語は、早く子どもを動かしたい、指示どおりの姿にさせたいという大人の焦る気持ちの裏返しです。」
これ、本当によく分かります。教師の焦りが、そのような言葉に繋がります。うまく行かなかった、時間が足りない、思い通り進まない、想定外がおきた、失敗させてしまった。このような時が危ないということを知っておくだけで、一歩踏みとどまることができるかもしれません。
以上、エンチャントでした!
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