通信簿のCCB、BBC、BBA問題
今回は、「通信簿のCCB、BBC、BBA問題」に切り込んでいきます。成績をつける時期になると、Twitter上に必ずでてくるこの問題。主に、「主体的に学習に取り組む態度」の評価の部分で、それぞれの先生方の捉え方が違うためにこの問題が起こっているように思います。自分なりに調べてみたことをまとめていきます。
①「この評価はありえない」という事例
アルファベット3つ並んでいる表記でわからない人もいるかもしれないので、ていねいに説明すると、順番に「知識・技能」「思考・表現・判断」「主体的に学習に取り組む態度」の評価です。
「CCBはありえません。」「普通はBBAにはなりません。」
この前、「こんなふうに言われた」と、この二つの考え方について相談されました。推測するに、その理由は、
「CCときたら、自己調整失敗しているから、CCCだろう。」
「主体がAなら調整できているわけだから、ABAかBAAになるだろう。」
ということなんだろうと思います。
他にも
「知識がC、思考がBはない。」
「思考が態度よりも高くならない。」
という事例もあるそうです。もっとも、態度と思考は基本的には連動することが多く、国研の資料では、「思考・態度ともにCになりそうな場面で「自己調整」が見られればBにしてもいい」みたいな記述もあると言っている人もいます。
どこまで根拠をもとに言ってるかわかりませんが、さまざまなことを言っている人がいますし、自治体、学校ごとに方針が違う評価になっていると思います。
②「主体的に学習に取り組む態度」の評価
従来の「関心・意欲・態度」との違いは、国立教育政策研究所が出している「学習評価の在り方ハンドブック」によると、
「各教科等の学習内容に関心をもつことのみならず,よリよく学ぼうとする意欲をもって学習に取リ組む態度を評価するという趣旨が改めて強調されました。」
と書いてあります。
そして、
「知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価します。」
意思的な側面を評価するということは、つまり、子どもの内面も評価していくということになります。
本観点に基づく評価としては、「主体的に学習に取り組む態度」に係る各教科等の評価の観点の趣旨に照らして、
① 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとしている側面
② ①の粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとする側面という二つの側面を評価することが求められる。
この図は有名ですね。これを見ると、「自己調整」と「粘り強さ」と、両方を兼ね備えていないとAにはならないということです。そして、「自己調整」が苦手でも、「粘り強さ」があれば、CにはならずBでその逆を然りということになります。
私が知っている限りでは、文科省は「3観点がCCAやAACといったばらつきのあるものになった場合は原因を検討して必要に応じて支援を行い、学習や指導の改善を図るなどの対応が求められる」と書いています。3つの観点に大きなばらつきがある評価は基本的にありえないと読むことができます。
また、「知識・技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえた上で、「主体」を評価すると書かれています。それぞれ別のものではなく、関連づいている。「主体」だけを単体で評価することはできないということです。
③評価のパターン全組み合わせ
3つのアルファベットの組み合わせは、全部で27パターンです。
AAA・・・〇
AAB・・・△(態度より思考が高いのはなし?)
AAC・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
ABA・・・〇
ABB・・・〇
ABC・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
ACA・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
ACB・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
ACC・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
BAA・・・〇
BAB・・・〇
BAC・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
BBA・・・〇(粘り強く自己調整した結果、CがBになっている?)
BBB・・・〇
BBC・・・△(態度より思考が高いのはなし?)
BCA・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
BCB・・・〇
BCC・・・〇
CAA・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
CAB・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
CAC・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
CBA・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
CBB・・・〇
CBC・・・△(態度より思考が高いのはなし?)
CCA・・・×AとCの混在は基本的にはありえないので、指導や基準を見直す必要がある。
CCB・・・△(粘り強く自己調整はし続けたが、Cのままだった。これはありえない?)
CCC・・・〇
まとめようとしましたが、うまくまとまりませんでした!
「こうらしいよ。」ではなく、根拠付きで知っていることがある人がいたらぜひ教えてください。
通信簿に対するクレームや質問がかなりあるということを、Twitter上でも結構目にしました。現状のままでは、保護者に全く伝わっていない通信簿であると思います。推測するしかないような、もはや暗号文です。どうしたらわかりやすくなるのか。
①面談で説明しながら渡す。
②保護者対象の評価説明会をする。
それくらいしないと、なにも効果のない通信簿のままですね。
以上、エンチャントでした。
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