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【香感覚】ゲムマ2023秋、初参加&初出展してみた

こんにちは、enchant chant gamingゲームデザイン担当の松本です。
先日、ゲームマーケット2023秋に初出展しました。初出展&そもそも初参加ということもあっていろいろと気付きがあったので、今回は備忘録的に感想を残してみたいと思います。

なお細かなゲームの制作過程については別の機会に譲り、今回はゲムマに初参加して得た所感・気付きを中心に書いていきます。

〈香感覚〉のゲーム概要については、こちらをご覧ください↓

「香感覚」は、嗅いだお香の香りに「近いと感じた言葉」をお題から選んで、親と子でピタリと当て合う協力系のボードゲームです。
みんなの答えを一致させる「以心伝心ゲーム」をベースに、本物の「お香」を使った共感覚の要素を加え、ひと味もふた味も違うプレイ体験を目指しました。
やってみると意外と難しい「香りの言語化」に、ぜひ挑戦してみてください。

https://www.makuake.com/project/kohkankaku/

前回の記事にも書きましたが、自分たちはもともと長らく文学フリマで同人誌を出してきました。ゲムマ初出展とはいえ、「同人イベントに出展する」こと自体については、多少の慣れがあります。

なので、まあだいたいこんな感じで準備すればいけるだろう、と気楽に考えていました。実際そこまで大きな問題は起きなかったのですが、いま振り返ると「もう少しこうしていたらな〜」ということがいろいろあります。次回のためにも、ここで書き出しておけたらと。

というか、制作自体は断続的にとはいえ2022年夏ごろから始めていたのだから、2022秋とか2023春とかに遊びに行っとけよという気もします(実際には文フリとだいたい時期が重なるのでそれどころではなかった)。

クラファン準備に追われ、ゲムマを狙った広報が後手に

〈香感覚〉の制作は、11月末のクラウドファンディングと12月初旬のゲムマに合わせて進めていました。本当は11月のうちにゲムマのための宣伝や準備をしておくべきだったのですが、10月下旬から11月にかけては、とにかくクラファンの準備が大変で手が回らず、、

具体的には、印刷所からあがってきたサンプルをもとに素材撮影を行ったり、クラファンページの原稿をつくったり、リターンの設計をしたり、といった作業がありました。同時に、初動の数字を作るためのダイレクトマーケティングも進めていたので、スケジュールも結構シビアでした。この時期はメンタル的にも「クラファンの初速が伸びなかったらどうしよう」というプレッシャーで、ゲムマのことを考えている余裕がなかったです。

ただ、ポジティブな面もありました。ひとつは、クラファンを準備する過程で、物撮りやゲーム説明文などの広報用素材が整備され、かつブラッシュアップされていったこと。もうひとつは、クラファンの反響がありがたいことにそこそこあったので、精神的に少し自信がついたこと。このあたりは実質的にゲムマ準備を兼ねていたといえそうです。

「サークル紹介企画」に応募、したかった……

11/30にスタートしたクラファンの初動を見守り、一息ついたらもうゲムマ直前。ブースの作り方や接客の方法、他のサークルの告知の様子などをいろいろ調べながら急いで準備を進めました。

↑待機列やブースの雰囲気などを詳細に載せてくださっている記事。初参加の自分たちにとってはめちゃありがたかった……!

この告知まわりで、普段参加している文フリとゲムマとの違いを実感することがありました。まずひとつは、「ゲムマ2023秋注目サークル!」的なキュレーション企画がいくつも存在しているっぽいということ。

たとえばボードゲームVTuber「きたこし」さんのゲムマ作品紹介生配信企画。事前に知っていたら絶対応募してた……リサーチ不足無念。

ほかにも、調べるといくつも記事やnote、動画などが出てきます。こういう大規模な紹介文化?は文フリにはあまりない気がする(あったらすみません)。

「自薦歓迎」文化に驚いた

もうひとつは、ゲムマ参加予定の人たちが「ゲムマのおすすめ教えてください!自薦歓迎です!」的なツイートをたびたびしていたこと。自薦というのはつまり、出展者からの「うちのゲームおもしろいですよ!」というアピールですね。

自薦なんてしたら鬱陶しがられちゃうのでは……?と一瞬思ったけれど、すでに風物詩的に定着しているものらしく、自薦歓迎ツイートもそれに反応する自薦ツイートもたくさん目にしました。前述のキュレーション企画系の募集はだいたい乗り遅れちゃったし、なら自分たちも自薦やってみるか!と、「ゲムマ 自薦」などでツイート検索して、せっせとリプライしていきました。

こんな感じで送っていました。ほとんどコピペで芸がないけど、知名度もないのでとにかく露出大事!と送りまくっていた。

本当に効果あるのかなとか、スパムにならないかとかいろいろ不安でしたが、自薦きっかけでブースに遊びに来てくださった方もちらほらいらしたので、今回はやっておいてよかったなと思いました。次回からどうするかはちょっと未定。

あと、「予約フォーム」というのもちらほら見かけました。文字通り、取り置きできるように出展者側が設ける簡易フォームで、結構多くの出展者の方々がやっているイメージでした。自分たちは売り切れはまずないだろうし、別にいらないかなと思ってスルーしましたが、結論からいえば作っておくに越したことはなかったです。理由は後述。

ここまでに挙げた「キュレーション」「自薦歓迎」「予約フォーム」、これらはいずれも「参加者が気になるサークルを絞り込む」ためのものです。それだけゲムマは出展者数が多いってことなのか……?とぼんやり思っていましたが、実際に今回参加してみて、その存在意義がよくわかりました。

買う側としてブースを回っていると特に実感しますが、ゲームって「おもしろい(おもしろそう)」かどうかの判断に意外と時間がかかります。実際に少し遊んでみないとわからないところがあるし、説明を聞くにも試遊するにもそこそこ時間が必要。

だから「無計画にふらふら回りながら気になったものをチェックする」というのが大変というか、自分が好きそうなゲームも結構見逃してしまったりする。なので、自薦でもキュレーションでもいいから、少しでも事前に情報を集めてアンテナに引っかかるものを絞り込んでおきたい、チェックリストを作っておきたいというニーズが生まれるのかなあと。

他サークルを偵察しつつブース設営

直前に自薦ツイートをせっせと行い、迎えたゲムマ当日。本当に買ってくれる人はいるのだろうかと、ずっとそわそわしていました。クラファンと違って「目の前で少し遊んでもらった上で、買うか否かを判断される」わけですし、文フリと違って客層の感じもあまり掴めていないので、当日朝はやはり少し緊張しました。。

初日はだいたい朝9時ごろにビッグサイトに到着し、10時半ごろまでブース設営。試遊卓なしの1区画なので少し狭めだったものの、商品も1種類なので特に問題はなく、設営自体は順調に進みました。

とはいえ初参加なので何か見落としがあるかもと、他のブースをさりげなく周りながら偵察。「価格の表記を大きめに出しているサークルが多い」ということに気付き、すぐに即席で価格表示の札を作成して掲示物に貼り付けました。

のぼりと卓上パネルに即席値札をくっつけた。

人員はecg3名+売り子1名の計4人での参加。全員文フリで即売会の接客には慣れていた&うち二人は前回の文フリで〈香感覚〉のサンプル試遊をやった経験があったので、誰がいてもなんとかなるだろうということでシフトは結構適当に組みました。

終わってみての所感としては、1人でも特に問題ないけど、2人いたら声がけ等しやすいなという感じ。特にチラシを配る場合は2人いたほうがいいかも。

シフトに入っていない時間は、勉強も兼ねて自由にほかのブースを散策。自分も両日合わせて20個ほどゲームを買ってしまいました。

試遊を通じて気づいたセールスポイント

そしていざ開場。先行入場してすぐの時間帯は、みなさんチェックリストを潰す感じで足早に歩き回っていて、全然立ち止まってもらえず。予約フォームを作る意味ってこういうことだったのか……!とここで気づきました。その最初の波が終わると、少しずつ足を止めてくれる人も増えていったような記憶です。

文フリでの経験から、「お香嗅げます」的な呼び込みはそれなりにヒキがあるだろうと踏んでいましたが、ゲムマでもそこそこ機能しました。〈香感覚〉ならではの要素なので再現性はないかもしれないけど、逆に言えばそういう「立ち止まってもらえる」キャッチーな要素がないと、ゲームとしても厳しいのかなとあらためて感じたり。

あとは、ゲームの説明から試遊までの流れも本当に大事だなと思いました。

声かけの時点で重要なのは、どんなジャンルのゲームなのかを説明すること。自分たちの場合は、概要をざっくり言うと「香り(五感)を使って/お題の答えを親と子で当て合う/パーティゲーム」ですが、まずこの「パーティゲーム」というジャンルを明示することが大事なんだなと。

パッケージなどの文言では「以心伝心ゲーム」という言葉を使っていましたが、それだと少し狭いのかもしれません。歩き回りながら自分たちと似た感じの感覚系ゲームや以心伝心系ゲームなどを偵察していると、「パーティゲーム」という表現を使っているところが多かったので、途中から自分たちも口頭ではパーティゲームと呼称するようにしました。

もうひとつ気づいたのは、「ゲームのルール(遊び方)」と「ゲームのキモ(おもしろさ)」は別であるということ。

これも、自分が他ブースで試遊させてもらうなかで気づけたポイントでした。一通りのルール説明の後に、「で、このゲームの面白いところなんですが〜」と話し始める方が結構多い印象があって、もしかしたらある種のテンプレになってるのかもしれませんが、個人的にはとてもわかりやすいなと感じました。

〈香感覚〉に当てはめてみると、「香りを嗅ぐ/親と子で答えを当て合う」のがルールで、キモにあたるのは「お題カードが一風変わっていること」です。たとえば「必殺技」とか「惑星」とか、およそ「香り」とまったく関係のないお題を設定しているからこそ、「香りを何かにこじつける」「お互いの(むちゃくちゃな)感覚を読み合う」というおもしろさが生まれるのかなと。

これも実は、ゲムマでの接客中に気づいたことでした。これまでは、「お題が変であること」はゲームとして成立させるためのギミックであって、ある意味どのゲームにもあるような当たり前のポイントだと捉えていました。〈香感覚〉のオリジナリティは「香りを当て合う」ことであって、それこそが他のゲームにはない差別化要素なのだと。だからクラファンページや宣伝ツイートなどでは、「お題が変であること」は殊更主張していませんでした。

要するに、宣伝する上のキモ(=オリジナリティ・独自性)と、楽しく遊ぶ上でのキモ(=体験のおもしろさ)はまた違うということだと思います。香りというオリジナリティで興味を持ってもらって、変なお題で楽しんでもらう。この流れに自覚的になれたのもひとつの収穫でした。

チラシを作ればよかった!

それともうひとつ。接客を通じて気づいた準備の面での最大の反省点は、チラシを作っておけばよかったということです。遊んでもらったあとに「あとでまた来ます」と言ってくれる人も何人かいて、そういう人に渡せるものを何か作っておくべきだったなと。

自分が買う側としてブースを回っていても「説明を聞く前にとりあえずチラシが見たい」と思うことが多かったです。前情報のない初見のサークルだったらなおさらだと思います。小さいブースだと、1組を接客しているうちに後ろに並んだ人がいなくなってしまうことも多いですが、そこでチラシをさっと渡せれば機会損失も防げます。チラシはとにかくいろいろ使い道がありそうです。

「購入ついでに自己紹介」作戦

買う側としてブースを回っていて気づいたのが、自分も出展者だとなんとなく話が弾むということです。「出展者さんなんですね、どんなゲームを出してるんですか?」的な会話ですね。こういう即売会イベントの醍醐味でもあるし、途中から意識的に出展者(しかも初出展!)であるということを伝えるようにしました。

特に、自分たちと似た感覚系・以心伝心系のゲームを作っているサークルさんのところはなるべく回って、購入するついでに「自分たちも香りを使ったゲームを作っていて……」とお話するようにしてみました。「香り袋」という飛び道具が手元にあったので、実際に香りを嗅いでもらったりしつつ。実際に後でブースまで買いに来てくださった方もいてうれしかったです。

なんだか営業戦略みたいな書き方をしてしまいましたが、純粋に「ボドゲを作っている人と交流してみたい」という気持ちも強かったので、出展者の方々とお話ができたのは単純にとても楽しかったです。似たシステムのゲームであれば、ゲームを成立させる上での苦労や、優れたアイデアのすごさもわかるので、「こんなおもしろいゲームを作る人たちがいるのか〜」とか、ブースを回るたびに勝手に昂揚していました。

「おもしろそう」なだけでは買えない/買ってもらえない気がする

そんなこんなで、買って売って大忙しの2日間でした。肝心の売上は、ひとまず「初出展でこのぐらいいければ十分だろう」というラインはなんとか超えられました。ホッとすると同時に、もうちょい事前の告知やチラシ準備などをやれていたらなあ、という悔しさもあり。今回の学びを次に活かしたいところです。

最後にちょっとだけ、今回のゲムマ初出展で得た生煮えの所感を書いておきます。

今回、買う側と売る側を両方初体験して思ったのは、「ゲームって、ZINEとかに比べて買う決断が重いな」ということでした。もちろん、単純に自分が冊子やZINEに慣れているだけというのもあると思います。

個人的になぜそう思ったのかという理由を考えてみると、自分にとって同人誌やZINEは読んで楽しいものでもあるけど、同時に「持っているだけで価値のあるアイテム」という側面もあるのだと思います。だから、「おもしろそう」とか「なんかよさそう」ぐらいでも全然買う決断ができてしまう。

でもゲームの場合、「おもしろそう」なだけでは自分はなかなか買えないなというのが今回思ったことでした。説明を聞いて少し遊んで、「おお、これはおもしろいな」と納得できたらようやく買える、みたいな感覚です。なんだか冷たい言い方ですが、「おもしろい」ものじゃなければ所有していてもしょうがない感じがしちゃうというか。これはゲームがひとりで楽しむものではなく、複数人で遊ぶものだからなのだろうか……。

このあたりの感覚が、単に自分が浅瀬にいるからそう感じるだけなのか、実際になんらか意味のある気付きなのかはまだわからないですが、ちょっと気になったポイントでした。そういう考え事のきっかけになったことも含めて、ゲムマ初出展、めちゃくちゃ楽しかったです。ゲームつくってよかった〜。

そして今回の記事では取り上げられなかったんですが、〈香感覚〉を紹介してくださっている企画や動画などをいくつか拝見しました。ものすごくうれしいです、励みになります。また別途リアクションできればと思います。

来年はもう少しボードゲームコミュニティの方々とも交流を持っていきたいので、まずはnoteの更新などをがんばります……!

ecg松本

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