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14. 額装の世界の歩き方

ざっくりとですが額装についてまとめてみました。なんとなくこんな世界もあるのだなあということを知ってもらえるくらいで十分です。日本では壁に額を飾るということがあまりなかったり(賞状とかはありそうですが)、あってもフォトフレームくらいで入れ替えができることが前提だったりします。立派なアート作品の額装でなくても、自分の身の回りにある好きなものを額装して飾ることができるというような文化もあるんだと知ってもらえるとうれしいです。それくらいきちっと額装された作品は(たとえ趣味で作ったものだとしても)作品としての完成度みたいなものがちがうし、それによって愛着の度合いも変わると思うからです。

とはいっても実際に国内で額装に触れ合うという機会はなかなかないと思います。気軽に額装をオーダーするようなこともそんなにありませんからね。いつも説明する段になってせめて実物を見てもらえると話が早いのになあと思いつつ、iPhoneのなかにいれて持ち運べるものでもないので、現物をお見せできないのが心残りになったりします。どうしても画像だと立体感や大きさが伝わりにくく、額装のよさを存分に見せることができないので。

あと額装は見てもたのしめますが、自分で作ったり自分の思い通りのものを作ることがたのしい趣味的な要素が強いと思うので、かんたんなものでもいいので実際に作ってみることをオススメしたいです(これもなかなかむつかしいですが)。

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いつも悔しいなと思うのが額装のおもしろさのひとつに作ってみるまでどんな感じに仕上がるかわからないという部分があります。スマホのケースをあれこれ着せ替えするみたいに自分流に好きなようにカスタマイズすることができるので(あくまで自分の額装であれば)、自由度の幅は広いと思います。とはいえ最初に思い描いていたかたちからいざ作業に取り掛かってみると、材料が足りなかったり、技術的にうまくいかなかったりといったトラブルに見舞われることも多いです。ただそうしたトラブルが一概に悪いわけではなく、いろいろと代替案を考えているうちに、当初考えもつかなかったオリジナルの作品が生まれることがあります。そんな風な棚からぼた餅的な試行錯誤の結果たどり着いた額装の方がよりよいものになったりするのでなんとも不思議なものだと思うのです。

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もし額装の世界に少しでも興味を持たれたらいまの時代はネットでいろいろと探せるので見つけてみてください。額装は最初の方の記事で解説したようにEncadrement(アンカードルモン、フランス語で額装の意)という言葉です。日本ではフランス額装と呼ばれていることが多いです。またinstagramで”#encadrement”と検索すると様々な額装作品が出てくると思います。それらを見て額装でこういうこともできるんだなあというところを見てもらえるとうれしいです。

これくらいがぼくの知っている額装のおおまかなところです。もちろん、額装の世界はぼくが考えているよりもずっと歴史があり、まだまだ知らないこともたくさんあると思います。また額縁ひとつとっても、最近では木製の額が減少して樹脂で作られた額が増えてきているようで身近なところで着実に変化が起きているようにも感じられます。当然、額装のかたちもこれから変化していくことでしょう。ぼく自身も試行錯誤しながらいまの時代にあった額装を模索していきたいと思っています。

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