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まだ産物になりきれていない郷土の文化は各地にたくさんあります

『朴葉寿司』をご存知ですか?

酢飯の上に色々な具材をのせ、朴葉という大きな葉でくるんだお寿司で、岐阜や長野、奈良などで見かける朴葉の香りが爽やかに香る、美味しい郷土料理です。


美味しい上に朴葉には殺菌作用があると言われ、作り置きができる上、食器を汚さず食べれることもあって、田植えなどの忙しい時期、とても重宝する食事でした。


ただ、私が子供のころ、田植えの時期に叔父の家に行くと大量の朴葉寿司が用意されていて、朝・昼・番・・・・


毎日それを食べさせ続けられていたので、さすがに子供の頃はお寿司が苦手に感じるほどになりました(笑)


朴葉寿司は利点が多い料理ではあるのですが、この他にも優れた点があります。


私が食べていた朴葉寿司は古米で作られていて、まず、お米を無駄なく美味しく使いきるという利点。


そして配りやすく、お裾分けに便利だった点も利点であったと考えます。


ご近所で助け合い、協力するという文化が今より色濃かった時代。


お裾分けは今より身近で、感謝を伝えられるコミュニケーション手段でした。


お裾分けし、またその人が朴葉寿司を作り他の家庭にお裾分けをする。


だからこそ広がり、郷土を代表する料理、一つの文化になったのだと思います。


初めに朴葉でお寿司をくるもうと考えた方のアイデアは本当にすごいですよね。

朴葉寿司は文化として広がり根付きました。


ただ、自家消費であったり、お裾分けであると、そこにお金は発生せず、売るという行為にならない為に当時、産物にはなりませんでした。


今は色々な朴葉寿司が楽しめるようになりましたが、そこには作り手の持つ資源やアイデア、すなわち風景が加わったことで新しい付加価値が付いたからこそ、産物になったのだと思います。


郷土で生まれたものに新しい付加価値が付き魅力が増し、それを食べたい、欲しいと感じていただけたなら、それは新しい価値を持つ商品として地元の産物になります。


まだ産物になりきれていないものは日本各地にたくさんあります。


各地で産物が生まれ、それを足掛かりに地方が潤い活性化することができたら。


それはとても素晴らしいことだと思いませんか?


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