自信がないドガ
昨日の続きです。
金持ちで、
家柄も良く、
芸術に理解のある親を持ち、
絵の技術も優れ、
サロンに出せば入賞し、
絵も売れるドガ。
なのに性格悪くて嫌われ者っていう。
金持ちで、才能もあるんだから、
素直に喜んでいればいいのに、
人間ってそういうことでもないらしい。
ドガが60歳くらいの時に、友達のド・ヴァレヌルに送った手紙に、こんなこと書いてました。
「私は、とくに自分自身に対して厳しかったのです。あなたは、私があまりにも自信をもっていないことに驚かれましたね。
いわば疑いと不機嫌さから生じる気性の激しさによって、私はすべての人に厳しく思われていました。
私は自分があまりにも未完成で、あまりにも必要なものに欠けていて、あまりにも軟弱だと感じていたのです。私はすべての人に対して不満顔をしていました。
もし、あなたのきわめて気高く知的な精神を、そしておそらくあなたの心さえも傷つけていたとしたら、私は本当にあなたに許しを請わなければなりません」
切ない。
ドガが、「性格悪い」と周りから思われていた根っこ、
周りから見れば、
「十分じゃね?」
って思う環境にいて、
才能を持っていて、
努力もできて、
でも、「私はあまりにも必要なものに欠けている」って思っていた、
その劣等感の裏返しとしての攻撃性だったとしたら、
ドガが求めた
「必要なもの」
って、何だったんだろうなぁ。
『山月記』の李徴っぽい。
(ものすごく恵まれた条件だったのに、最後、劣等感から発狂して虎になっちゃった人)
金持ちであるとか、
絵の才能があるとか、
周りが、「これさえあれば、自信満々になれるはず」と思うものも、
手に入ってみると、
意外と自信の源になってくれないのかもです。
人間の自信の源って何なんだろうなぁ、と考えた
ドガさんのお手紙でした。
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