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作家紹介〈書くアクセサリー企画〉

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書くアクセサリー企画のものです
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私事ではあるが、着物を見ると亡くなった祖母のことを思い出す。
装うことを楽しむ祖母は、こと着物に対して〈美しい〉という形容詞を使い、異なる色、生地、柄を調和良く組み合わせることがいかに難しいことかを力説していた。

kanoriのアクセサリーは、着物の生地や帯揚げでくるんだくるみボタンにビーズやスパンコールを縫い付ける和洋折衷な作風を特徴としている。
着物独特の色合わせや生地の選択は非常に美し

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ぱかりと開けられた小さな銀色のスチールケースには、沢山の作品が詰まっていた。
一ミリにも満たないレース針と手縫い糸で生み出される世界はとても美しい。
繊細でわくわくさせられる。
あたたかくて優しくて、どことなく切なさも感じる所もまた良い。
一本の手縫い糸で基本の編み方である鎖編みをして見せてくれた髙橋さんのレース針は、レース針の中でも二番目に細い十二番。
見せてもらった針先のくぼみはよく目を凝らさ

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自然と手に取ってしまうのは粒々したもの。
人生最後に食べたいものは、たらこスパゲッティ。
イクラの海に沈みたい。
粒々偏愛。

樹脂作家 おざきゆうさんの作品には、ビーズや鉱物などの【粒】が樹脂の中いっぱいに閉じ込められている。
彩り豊かできらきらとしているのが特徴だ。 
染料は使用せず、色合いは粒を配置して作った層を重ねることで完成される。

入れただけでしょう?と思うなかれ。
粒の材

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