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「まさかの〝野グソ〟でネット検索一位に」 vol.37

LIGで月に二本サイハテ村通信の連載をやらせてもらう中で、〝Webメディアの恐ろしさ〟を知った事があります。

それが、こちらの記事「野グソが世界を救う!? 13,600回を超える野グソ体験はもはや美学だった話」です。これを書いたのは、次に寄稿する記事のネタに悩んでいた時のこと。

たまたま知人が野グソの達人伊沢正名さんの講和を聞いたとかで、サイハテ村に彼の野グソ愛が詰まった野グソHow to本を寄贈してくれたのですが、一言でいうなら「稀にみるガチなやつ」。

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著者伊沢さんのプロフィー ルには、1974年より野グソをはじめ、1990年には伊沢流インド式野グソ法を確立。

これまでにした野グソは1万3600回を越えるとのことで、自らを糞土師と名乗っているらしいのですが、こうも野グソを連発しながらも威厳すら感じさせる伊沢さんは只者ではないはずです。

本を開くと、まず現在のし尿処理の問題を取り上げているのですが、簡単にまとめると、一人が一日にするウンコの量は200〜300gであり、日本全体ではおよそ年間1000万tにもなる事、

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その膨大なウンコを処理するために多くの施設や資源が使われていることや、焼却灰はコンクリートに固められたり埋め立てられていて、 生き物の世界に戻ってこないことを書かれています。

本来なら、食物連鎖のごとく命が循環することで自然界はバランスを取っています。人間や動物が食べた野菜や肉はウンコになり、それを微生物や菌類が食べ、そのウンコを植物が食べて成⻑し、また人間や動物が食べる。

自然と切り離された現代のライフスタイルが及ぼす環境破壊・生態系の破壊は、どうやら私たちが毎日何気なくしている排泄活動にも深く関わっているというものでした。

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そんな、環境意識高い系の伊沢さんでしたが、いつしか「ウンコを自然に還す」という純粋な行為そのものの探求に目覚めていきます。

正しい野グソの作法から始まり、究極のウンコ持ち帰り法、ウンコ原理主義、野グソのマナーなど、 13,600回を超える野グソ体験から様々なメソッドを体系化されていて、これから野グソを始める方には申し分ない内容となっています。

ちなみに、伊沢さんの連続野グソ記録は、2000年6月1日から2013年7月15日までの13年と45日、通算4,793日にも及びます。そして21世紀に入ってからの16年間で、トイレでウンコしたのはたったの9回というから驚きです。

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逆にその9回が気になるところですが、名実ともに糞土師となった伊沢さんは、さらに野グソ時に使うおススメな葉っぱ図鑑まで作成していました。本を読み終えた僕にできること、それは〝野グソ〟しかありませんでした。

まずは葉っぱ図鑑を見ながら、尻心地の良さそうな葉っぱを選びます。例えば、タンポポ。贅沢にも可愛い⻩色の花の部分をあてがって使います。

「ティッシュに勝るとも劣らない」という伊沢さんのコメントに変な高揚感を覚えながらも、葉っぱたちが未知なる世界に誘ってくれているようで、「こうなれば最高の野グソをしてやる!」となるのは時間の問題でした。

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ところで、みなさんはウンコをした後、お尻を何回拭きますか?僕は三回です。 二回だと拭き残りがあるし、四回だとヒリヒリするからです。

となると、課題は三回の「お尻拭き」でどれだけ機能性と幸福度を味わうことができるかでしょう。 さながらお客を満足させるフルコースを考える一流料理人のような気分になりながら、僕が選んだのはこの三品。

一品目は「トスカーナ産白トリュフ風の小石」、二品目は「国産牛フィレ肉のポワレに合わせたくなるようなミント」、三品目は「季節の葉っぱとタンポポのムース似」。

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まずは安心感のある小石で80% 以上の拭き取りを狙います。続いてのミントでは95%以上の拭き取りを目指しつつ香りづけ、最後に小石のダメージを和らげる癒しのタンポポ効果で最高の野グソをサーブしたいと思います。果たしてこのフルコースを体感した時にどんな感情が溢れ出すのか......。

準備ができたらフルコースを味わう場所を探します。伊沢さんがオススメするのは林の中。確かに人に会うこともないですし、安心して野グソをすることができそうです。

そして、野グソの場所が決まったら、直径20cm、深さ5〜10cmくらい の穴を掘ります。林の土は柔らかいので靴のつま先でも簡単に掘れます。

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いよいよです。待ちに待ったこの瞬間!もう野グソの虜だと声を大にして叫びたい!!高まる気持ちとは裏腹に、身体は適度な緊張感を持ち冷静を保っていましたが、 鳥の鳴き声や葉がカサカサ揺れる自然の音を聞いてるうちに、自然と一体になる 感覚に包まれていきます。......ップリ...。

もはやここは楽園と言ってもいいかもしれない。おもむろに取り出したのは最高のフルコース。一品目は「トスカーナ産白トリュフ風の小石」手に馴染む絶妙のサイズ感と多面体の利点を生かしピンポイントで90%ほどの拭き取りに成功。

二品目は「国産牛フィレ肉のポワレに合わせたくなるようなミント」いわゆるただのミントですが、拭いた途端スーッと風が抜けたような心地よい爽快感、ウンコの香りに負けじと空間をミントの香りで満たしてくれます。

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三品目は「季節の葉っぱとタンポポのムース似」予想通り小石のダメージが少し残っていたのですが、タンポポの優しいふわふわに包まれながら最後の余韻にひたることができました。

最後は掘った土を戻し、分解する前にまた同じところを掘ってしまわないように、またウンコが一カ所に集中して生態系に悪影響が及ぶことを防ぐため、木でバッテンの印をしておくのが野グソのマナーとのこと。

最高のレストランで最高のフルコースを味わい、支払いはウンコで。という自然の循環を最大限に味わう野グソはまさに排泄の美学に溢れていました。

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そんな素晴らしい体験をさせてくれた糞土師伊沢さんに感謝しつつ、記事が公開され数ヶ月が経った頃、僕は怖ろしい事実を知ることになるのです。

なんとインターネットで〝野グソ〟で検索した結果、568,000件ある情報の中で、僕の記事が一番上に表示されてしまうようになったのです。そのせいでしばらく僕は「野グソのひと」と呼ばれるようになり、福岡のお洒落な人たちの前で野グソのスピーチまでさせられる始末。

本当、Webメディアって怖しいなぁと思いながら、一人でも多くの人に野グソの魅力を知ってもらえたら嬉しく思います。

▶︎「野グソが世界を救う!? 13,600回を超える野グソ体験はもはや美学だった話」

次回は、vol.38「ビキニ農法の成功と失敗」です。フォロー、スキ、シェアしてくれると励みにります!^ ^

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