見出し画像

[エクス・マキナ 感想]

79点
アートや神話を絡めた、美しく、少しの狂気を孕んだ神秘的な作品


 Googleのオマージュであろう大企業で働く主人公ケイレブ。

 ある日社内の抽選の一等に当選。普段社員の前に姿を現さないCEOネイサンの別荘に一週間滞在する権利を得る。

 別荘は凄まじい敷地。ジュラシックパークの様な壮観。

 そんなネイサンの別荘の中には彼が作り上げた高精度のAI、エヴァがいた。

 彼女の初めての人体接触の被験者として協力する様要請されたケイレブ。しかし、エヴァと接触するうちに怪しげなネイサンの行動を知る様になり…

 という話。

 金持ち社長のぶっ飛んだ家で、ぶっ飛んだ高性能AIが登場する話だからこそ、何が本当で何が嘘か最後まで全く分からず終始考えを巡らせながら見ることができた。

 ネイサンの、孤高な天才が見せる狂気じみた笑顔の再現性が素晴らしく、フィクションの世界とは思えなかった。

 最後、エヴァはケイレブの愛を利用し、欺き、人の世界へと紛れた。

 生殖機能も持ち、心を持ち、自らの意思で行動するエヴァはもはや人間と瓜二つの存在だ。ネイサンが言っていた様にAIが人に取って代わることも起こり得るのかもしれない。2000年の歴史はそうして塗り替えられていくのかもしれない。我々の祖先もそうして進化してきたのだから。異常事態ではなく自然の成り行きなのかもしれない。と、思わせられる恐ろしい作品であった。

 作中ではエヴァ、ケイレブ、ネイサンそしてキョウコの4人でほとんどのシーンが構成されているにも関わらず、間延びや不要と感じるシーンが一切ない。なんとも言えない魅力を孕んだ美しい作品である。

 作中のネイサンのセリフで、ケイレブに何故AIに性別を持たせた?の問いに対するアンサーとして性別があった方が面白いだろうという趣旨の返答をした。

 人を想像する時、というか創造される際に神もこんな感じでノリで作ったのかもしれない。ここまで発展する様に考えず。その結果として今私がiPhoneに文字を打ち込んでいるだけで、私がiPhoneに文字を打ち込むところまでは神はきっと想定していなかったはずだ。エヴァに殺められたネイサンの様に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?