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日本の音楽市場の現在地

経産省による『音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書』というレポートがとても面白かった。

↓PDFはこちら

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/musicindustry_houkokusyo_2407meti2.pdf

着目すべき点は多数あるが、日本の音楽市場は世界2位でありながら、米国における日本人アーティストのストリーミングの再生回数は全体のうち0.14%、というのが核心だと感じた。世界1位であるアメリカの音楽市場は日本の約7倍。もちろん世界はアメリカだけじゃないけれど、日本の音楽は海外に広まっていない。

ではどこで稼いでいるか?デジタル化の遅れた日本市場では、グッズを含めたパッケージの販売の需要や、ライブやファンダム形成によるリアル体験への課金が占める割合が大きい。日本人には音楽そのものへの課金ではなく、周辺コンテンツによる課金に需要がある。でも、だからこそ海外からの供給が遅れている。

今後の日本の音楽産業の一番の課題は、いかに外貨を稼ぐか、だ。

一方、日本の音楽市場は大きいからこそ、海外からの参入需要は大きい。K-POPアイドルは特に顕著で、今の韓国の事務所は日本のエイベックスなどをベンチマークにしていると公言している。海外の音楽事業者からすれば、日本の市場は喉から手が出るほどに欲しい。

が、2023年に最もライブで稼いだテイラー・スウィフトは"The Eras Tour"で日本で4回公演をしているが、全151公演の中ではわずか2%だ。テイラー程のグローバルSSS級アーティストであっても、日本ではそれ以上の公演をしない。それは何故だろう?難しいからだ。

言語的な特性もあって、日本の市場は独特で参入障壁が高い。VtuberやAdoなどの覆面アーティスト、アニソンなどといった無二の存在感のある日本の市場は、ただデカいだけでなく複雑で特殊だ。

今後、この市場に対して外貨を呼び込む仕組みがあれば、グローバルなビジネスが生まれるのではないか。

そんなことを思いました。

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