
尊敬する人
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先日、数年前の来日ツアーで共演した世界的に有名なベリーダンサーが、まさかのお忍びでわたしのライブに来てくださった。世界を飛び回る彼女はわたしのことは当然覚えていないだろうから「あなたと共演したことがあって、あの時はとても楽しかったよ!」って挨拶しようとしたら、名前を呼んで古くからの友人にようやく会えたような嬉しさと懐かしさの顔でビッグハグをしてくれた。
彼女はいるだけで全身からポジティブなエネルギーが溢れていて、ダンサーとして客席を楽しませるだけでなく、リハーサルからバンドメンバーを含むその場にいる人全員を楽しませてくれて、ショーに関わるすべてのことに全力投球な人だった。
ライブの帰り際、ありったけの言葉と表情と身振り手振りでアドバイスをくれ「助けが必要な時はいつでも連絡してね。」とシリアスな顔で言われた。数年前にもまったく同じ顔で「助けが必要な時はいつでも連絡してね。」と言われたことを思い出す。きっと彼女は出会ったみんなのことを本気で助けて、全員でいいベリーダンスシーンを作ろうとしているのだと思う。
何かを続けている人はきっとみんな経験すると思うのだけれど、演奏も続けていると「すごい人」に遭遇することがあって、そういう人と話していると、自分が自由になっていく感覚がある。この感覚を共有したい気持ちになって、久しぶりに筆をとりました。
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ヴァイオリン、ハーディングフェーレ、ヴィオラ奏者/音楽民族学者。東京藝術大学大学院修了。専門は世界の民族音楽としてのヴァイオリン奏法🎻
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