ガンダムTRPGをつくってみた【二次創作】

はじめに

ガンダムTRPGをつくって公開しております。上記の場所です
またリプレイも作りました

上記の場所から、作ってみるお話、キャラクター作成と、現時点ではブック3までのリプレイを公開しています。
今回は、作った理由や、どうしてこういうシステムにしたのかを文面にしたいと思います。

手軽にTRPGがやりたい

TRPGの経験はざっくりと、ガープスにはじまりナイトウィザード、アリアンロッド(第1版、2E)、Aの魔法陣をほんの少し、ソードワールド2.0をほんの少し、サタスペを少し、クトゥルフを微粒子レベルといった塩梅で、ルールブックだけだったりするともう少しあります

さて、TRPGはなんだかんだスキル構成などのキャラクタービルドを楽しんだり、GMをやってシナリオを考えたりしつつ、しばらくすると、どどんとふなどのオンラインシステムを利用した贅沢な環境で遊んでいくようになっていきました。

すると、1回のセッションの時間が比較的に大きくなってしまうのと、それにともない新しいシステムを遊ぶのもおっくうになり、また、知っているシステムを遊ぶこともなかなか手が伸びなくなっていました。

もっと気軽にTRPGをやれないか。まぁ、それはハードルを自分自身で上げてしまっているというのもあるのですが、それとは別に、システムの作成も作ってはつぶし作ってはつぶしをしていました。

つまり「気軽にTRPGができるTRPG」であり「システムは自作」であるが「世界観を0からつくるのは難しいだろう」という複合した理由から、ガンダムTRPGをつくるという方向になりました。

これはいくつかの失敗とその反省もあります。
それは、「作ったけど、何度もテストプレイしてもらうのは難しい」そして「それゆえに、調整していくことも難しい」という失敗です。
だからこそ、今回は小さく作ってしまおう、シナリオを作る人も手軽でGMも手軽でみんなが手軽な、そんなTRPGを作ってしまおうと考えたわけです。

サイコロの使い方は独自がいい

システムを作るなら、ちょっと独自のサイコロシステムにしたくなるというのがあります。定番となった2d6という6面ダイス2つ以外に何かないか。

サイコロをたくさん振れると楽しいですよね。そう、たくさん振りたいんですよ。でも、そうすると、合計値にすると数値が乱高下してバランスがとりずらいのです。

そこで……出た目を合計するのではなく「好きな出目を1つ採用する」にしたらどうだろうと考えたのです。つまり [2,4] と出たら、2か4で大きくしたいなら4が結果となります。こうすることで、サイコロはたくさん振れるが、数値が極端に跳ね上がることのないようにできるのではと考えました。

もし5つサイコロを振ると[1,3,6,3,5]だったら、大きい数は6です。そう、いくらサイコロが増えても、最も大きな数は6で、サイコロが増えることによる恩恵は安定して5以上が出しやすい、というふうにおさまります。

ちょっと違うシステムを盛り込んでみたかったのか、サイコロをたくさん振りたかったのか……

目的はその物語を体感できるTRPGである

TRPGのロボットものに限らず、僕は「TRPGは物語を作る」という点について懐疑的です。

個々のプレイの結果全体を通すと、緩急があってドラマチックになりうる、というのはTRPGに限らず、どんなゲームでもありえるのではないかと。

野球などのスポーツに熱狂するのもそういったドラマがあるからですよね。

だから、小説などのような、本当に物語を作ることを狙ったTRPGというのはそうそうなく、システムを運用することで、セリフのかけあいがあると、演劇的で、そのように見えて、そう見せるためにゲームマスターは多大なる苦労をしていて、実質的には「TRPGが」ではなく「TRPGを背景にGMが」セッションを通して物語を感じさせているのかなと。

そして、手軽にGMをやれるためには、そんな物語部分の負担を極限まで減らすにはどうしたらいいのかな、というのが今回の挑戦で、結果、システムと演出を切り離した感じになりました。

演出をいかにしても、システムには反映しません。

一見、それは演出を否定しているようですが、手軽さと、同じシナリオを何度でも繰り返せる、安定してガンダムっぽいセッションができたらいいなぁということは、ひとまず達成できそうなのと、結局のところシステムが提供した物語の骨に肉付けをする演出を推奨しておくことによって、案外、それでいいような気がしました。

たぶん、「正しい演出を評価しよう」というのが間違いなのかもしれないと。ゲームにキャラクターの描写を反映するとどうしても評価してしまうわけです。そこを評価をせず、おのおのの演出をみんなで共有して楽しむまでにとどめるにはどうしたものかなと。

そして「それっぽい物語が作れる」ということに焦点をあてると、つまるところは典型的なイベントのルーティーンであって、キャラクタープレイはそれを作ってくれるわけではないわけです。

ということで、そんなイベントを脅威として、ルーティーンをブックとして取り込んだのが本システムです。

おのおののキャラクタープレイで自然に面白い物語が生成されるという事はそうそうなく、そうであるために、みんなが頑張ってしまっている負担というのがあって、そうした気づかいや技術をなるべく少なくできないか?という狙いがあったわけですが、反対に描写をするための素材をシステムは提供しないため、各々の想像力や引き出しが試されるものになったなぁと感じてます。

ロボットもののTRPGは流行らないのか?

たまにこんな話題があがったりするわけですが、ファンタジーRPGでみんなが勇者をやろうとしたらそれはヒロイックな物語にはならないよね、とか、ロボットを操縦している感覚を体験できないからだと思います。

物語での、それぞれのキャラクターポジション、兄貴役や主人公、ヒロイン、ライバル、憎まれ役、そういったものをロボットもののTRPGはわりとどがえしして、ロボットを作ることに固執しているように思います。

いろんなロボットが作れて楽しいでしょ?と。

でも、実際にはその元ネタのような物語にはなかなかなりえません。ガンダムTRPGを作ったとしてそれはガンダムのような物語にはならず、えてしてガンダムやMSが作れる、または使えるゲームになるわけで、そこは違うなーというか、違うようにしたいというのがテーマとしてありました。

ロボットものだなぁとプレーヤーが感じるシステムって何なんでしょう。

今回は「ガンダムっぽい物語になる」ように作ったわけですが、反対に、ロボットを操縦しているような体験をえられるTRPGというのは、どんなものなんだろうなぁと思うわけです。

乗り物ですこし身近なものに切り替えて考えるなら「自転車にのった気分になれるTRPGは作れるか?」です。

自転車に乗ってるなぁと、そんな感覚を持たせてくれるものは、いろんな自転車のパーツがあってそれらを自由にセッティングできたからといって、感じられるものではありませんよね。

もう少し機械によるなら、自動車のレーシングゲームだけれど、自動車が自在に作れてもレーシングゲームにはなりません。

そして、自動車を運転するシステム、レーシング部分をゲーム化しても物語には不十分です。マシンの設計、部品の調達、腕の磨き方から、レース会場とさまざまな仕組みがあっても、まだレーシングの物語を作るTRPGには遠いように思います。

そして、「TRPGは物語を作るんだ」と主張しているからこそ、ロボットを作れても「ロボットもので織りなす物語は再現できない」か、あまりにもシステムが肥大化しすぎてゲームとして運用されるものでもなくなる。

そこは汎用的なTRPGが作れるだろうという夢を追いかけた時代があったのに似ているかもしれません。

ガープスやAの魔法陣という、汎用的なTRPGをつくるんだ、というテーマの物がありましたが、定着しませんでした。

たぶん、「参加者にどんな体験をさせたいのか?」というのによって、最適なシステムは変わるのであって、汎用的なTRPGはそこ不明瞭だから、何を楽しんでいいのかわからないのでしょう。

ガープスではクトゥルフのようにキャラクターがどんどん狂っていくことは再現できませんし、そこにフォーカスが当たっていない以上、冗長なシステムの負担があって狂乱を集中して楽しめません。

また、二次創作のTRPGというのは、結局はその世界観でのキャラクターやアイテムが作れるけれど、その元の物語になるような設計になっていないことがあるように思い、それに似た構造もありそうです。

ドラゴンボールTRPGであるなら、孫悟空になれるTRPGなのか、それともサイヤ人を作れるゲームであるのかでも分岐するわけですが、そうしたとしても、そのシステムはドラゴンボールのような物語をセッションを通じて提供してくれるわけではないわけです。

話を戻すと、「ロボットに乗っている感じ」と「人間キャラクターを操ってる感じ」は本来違うようになるべきなんです。もし同一であれば、それは乗り物に乗っているという感覚を感じれていないわけですから、うまくいっていないわけです。

つまり「おおざっぱにロボットもののTRPGがしたい」という願いに対して「何ができたら満足するのか」というのを、明確にしていないような気がします。

そういう点では、そういう願いとは対極のシステムになってしまったのかもしれません。

ミステリーやリドルは捨てた

TRPGでプレーヤーが体験できる1つとして、舞台裏に隠された秘密、原因がどんなものであるか想像し、ワクワクしながら一歩一歩と進めていくことだと思います。

はい、今回はそれを捨てました。

どうしてかというと、シナリオが消耗品になることと停滞する原因になるからです。

手軽さを追求すると、シナリオは何度でも繰り返して遊べるほうがよく、停滞する原因をシステム側で排除したかったのです。

そんなTRPGはワクワク感がなく楽しくないのではとも思ったわけですが、物語に介入する、演出をしていくことが楽しいのだとすると、そうしたものは二次的なものということで今回は割り切って捨ててしまいました。

本システムでは、黒幕や秘密も参加者みんなで考えながら進めていきます。

ゆえに、プレーヤーが秘密を想像し選択に苦悩する、といったものは今回諦めています。

脅威に対するシステムをおおざっぱにした

もともと、なにがしか物語に登場する克服すべき課題というのは段階的に描かれるのですけれど、そうしたものをすっぱりあきらめています。

まず、日常の描写、ゆっくりと課題がにおわされますが気づかず、そして課題が表面化、つづいて課題について知ることで大騒ぎになり、分析されるフェイズが来て、あとは解決するかいったん失敗したりと千変万化するのだ思うわけですけれど、捨てました。

キャラクターが持つ能力値は情報、破壊、回避と、おおよそなにかしかの脅威に対して対処する要素を大雑把に抽象化した上に、段階を省きました。

もう少し厳密にしてもいいのかなぁと思いつつ、そもそもこのシステムが抽象的な状態で成り立たなければ、細かくしても大本が狂っているのでダメなんだろうと考えると、まずは抽象化した状態で成立するかを考えたかったんです。

また、現状でプレイ時間がどれくらいかかるのだろうというのもわかりませんでした。

脅威やナラティブのテクスチャを変えれば、物語を作るという面においては汎用的なシステムになるのではないかと考えて、あまりシステムで細かくしたくはなかったのも理由の1つです。

さいごに

世界を作ることも今回捨てました。

たぶん、TRPGのシステムを作りたいという思いの一つは、なにかしら1つの世界を作りたいというのがあると思うわけですが、今回は二次創作にすることでそのへんもまるっと捨て去ってます。

「手軽にこんなかんじの物語が1セッションで組みあがるTRPG」みたいな典型になったらいいなぁと願いを込めて。

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