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これから生きていく上で大切なこと

私がカウンセリングを始めた当初より、多くのお客様から

相手と意見が違う時に、自分の考えをどう伝えたら良いのかわからない。
自分の考えをうまく伝えられず、相手に合わせてしまい嫌な思いをする。
自分の考えがまったく浮かばず、何をしたいのかも思いつかない。
よくないとは思うけど、人に合わせているほうが楽・・・。

のように、「自分の考えを伝える難しさ」や「自分がどうしたいのか分からない」というご相談を受けます。

こうした話を聞くたびに、ネットで見かけた最近の教科書の話が思い浮かびます。

小学4年生向けの国語の教科書にこのような内容がありました。

「こんなところが同じだね。」
知って嬉しくなる共通点がみつけられるといいですね。

はじめは2人1組になり、共通点を探します。
次にその2人と別の2人の4人が組になり、できるだけ多くの共通点を探します。
その後、みんなに伝えたい共通点を一つ発表します。

このように人との共通点を見つけることは

自分は1人ではない、分かりあえる、仲間だ、と安心感を得られる。
同じところがあるから好きになる、
同じところがあるから距離が縮まった、
苦手意識があったけど、本当はいい人なのかもしれない。

などの良い効果がありますが、逆に“人と違うこと”について目を向けてみると、

自分はおかしいのではないかと不安になる。
なるべく人と同じようにしていたほうがいい。
「あの人はみんなと違う」=「変わっている、変な人だ」という思い込みが生まれる。

といった「多数が正しく少数が間違い」のような誤った認識や、同じではないことが排除につながるなど、ネガティブな効果も生まれてしまいます。

その教科書には端に小さく「お互いの共通点だけでなく違いも知るようにする」と書かれているものの、その違いについて話し合ったり、理解を深めることへの促しはなく、肝心なところが抜け落ちているように感じました。

自分と違ったら嫌い。
共通点がないと理解できない、好きになれない。
人と違う自分はおかしい。
だから人と同じフリをすればいい。
トラブルは面倒。

といったように、共通点だけにこだわれば、視野が狭くなり、生きづらくなってしまいます。

「仲間意識が仲間はずれを生み出す」といわれるように、いじめや仲間はずれ、妬み、嫉み、自信喪失、自己否定のような多くの負の感情や行動は、人と自分を比べることから始まります。

そして「人と同じであるべき」という考えからは「無難が一番」という無個性さが蔓延し、自分で考えることを放棄したイエスマンを生み出し、同調圧力に飲み込まれてしまいます。

また「みんなちがってそれでいい」という理想論は言葉だけが先行し、実践されているとは言い難い状況です。今の日本を見渡せば、あちらこちらで出る杭は打たれ、個人の可能性が否定される傾向が見受けられます。

今は多様化が叫ばれる時代ですが、人からどう見られるかを気にして、無理に“共通点”を見つけて好きになろうとしていませんか?

多様性は押し付けられるものではなく、「みんな違うものだ、違っていて当然」ということをきちんと理解し、お互いが生かし合えることが大切です。そのためには“共通点”とともに“違い”を知り、その違いにどう折り合いをつけるかを経験し、寛容性や広い視野を持つゆとりある人間に成長していく。

違いを理解しないと、一方向的な見方で批判したり、自分を卑下しがちになってしまいます。多勢に流されるのではなく、どんなことも常に自分の頭で考えて判断することで、より良い関係と結果を導き出すことができるようになるのです。

人との違いに不安になったら、それは間違いでなく、自分の個性と思いましょう。
考えることを放棄せずに、仕事も生き方も、自分の考えを持ち行動できるようになったら、他人と比べる必要のない自分だけの幸せが見つかるはずです。

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