光田健輔論(31) 善意と悪意(1)
善意も悪意も「主観的な心情」である。いくら自分では「善意」での行為であっても、他者にとっては「悪意」としか思えない行為もある。しかし、ハンセン病史に主体的に関わっている人々、特に絶対隔離主義者は自らの言動および共に関わる人間の言動を「善意」としか自覚していない。
光田健輔がそうであり、光田に対する林文雄や三上千代、神谷美恵子らがそうである。彼らは自らが為したことを「善意」、つまり患者を救うため、国家を救うための最善の方法であったと信じて疑わない。救えなかった後悔はあっても、自