ふしぎなぴりーこぱん⑪
あんこちゃんはかなしくなった。
たのしかったじかんがおわろうとしているだけでもかなしいのに、ぴりーこぱんったらじぶんをたべて、なんて。
「やめてよぴりーこぱん!わたし、おともだちはたべたくない、っていったでしょ!」
「おともだち?ぴりーこぱんは、あんこちゃんのおともだち?」
ぴりーこぱんは、たしかめるようにいった。
「そうだよ!さいしょはちょっとこわかったけど、たくさんいっしょにあそんだし、ふしぎなおもしろいことをいっぱいおこしてくれたの、わたしうれしかった。いまはおわかれするのかなしいもん!ぴりーこぱんはわたしのおともだちだよ!」
あんこちゃんのめから、なみだがぽろぽろこぼれた。
「そっかあ、ぴりーこぱんは、あんこちゃんのおともだちなんだね」
ぴりーこぱんのかおからは、うれしそうなえみがこぼれた。
「ごめんね、あんこちゃん。ぴりーこぱんはあんこちゃんのおともだちになれたかどうか、たしかめたかっただけなの」
「じゃあ、ぴりーこぱんをたべなくてもいい?」
「だいじょうぶ!」
「また、ぴりーこぱんとあそべる?」
「もちろん!」
「じゃあ、こんどはいつくるの?」
「それはね・・・」
ぴりーこぱんは、またあのうたをうたった。
ぴりーこぱんにあえるのは しらないよ しらないよ
なんじにくるのか なんじになるのか わからない わからない
「でもね、あんこちゃんがあいたいとおもってくれたら、またすぐあえる」
「わかった!ずっとまってる!」
あんこちゃんは、なみだをふいて、そういった。
「ぼくたちも、バイバイしなくちゃね」
キャンディチーズくんが、ハートちゃんにむかっていった。
ハートちゃんは、あんこちゃんにむかっていった。
「ぴりーこぱんがかえったら、わたしたち、えにもどっちゃうんだ」
「そっか・・・」
あんこちゃんのめから、またなみだがこぼれそうになった。
なみだがポトンとおちるすんぜんに、ぴりーこぱんがおおごえでいった。
「ハートちゃんとキャンディチーズくんも、ぴりーこぱんといっしょにくればいいよ!そしたらまたあんこちゃんとあそべるから!」
あんこちゃんのなみだは、おどろきでスッとひいた。
「そんなことできるの?」
「できるよ!ぴりーこぱんは、なんでもできるんだもん」
ぴりーこぱんは、ハンバーガーのすがたでエッヘン!とむねをはろうとしたが、またパンがずりおちそうになってやめた。
「ありがとう、ぴりーこぱん!」
ハートちゃんがうれしそうにおれいをいった。
「やったあ!まだまだみんなとあそべるんだね」
キャンディチーズくんがおどりあがっていった。
「それならわたし、がんばってバイバイするよ」
あんこちゃんがいった。
「あんこちゃん、またときどき、わたしのえをかいてね。そしたら、あんこちゃんのことがみえるから」
「わかった、やくそくする」
あんこちゃんとハートちゃんは、ゆびきりげんまんをした。
「それじゃ、そろそろバイバイしよう」
ぴりーこぱんは、とけいのまえにふわっとうきあがった。ハートちゃんとキャンディーチーズくんもそれにつづく。
「ぴりーこぱん、さいごにひとつだけききたいんだけど」
とけいのなかへはいっていくぴりーこぱんにむかって、あんこちゃんはさけんだ。
「どうして、わたしのところにやってきてくれたの?」
ぴりーこぱんたちのすがたは、もうみえなくなっていたけれど、かすかにこうきこえたきがした。
「あんこちゃんが、なんだかさびしそうだったから」
「ありがとう、ぴりーこぱん」
あんこちゃんは、もとどおりにじかんをきざみはじめたとけいにむかって、しずかにいった。
つづく。
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