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ふしぎなぴりーこぱん⑥

ふたりはおなかがいっぱいになった。あんこちゃんは、あさごはんをたべていたのに、けっきょく3まいもホットケーキをたべてしまった。おかあさんがみていたら、あきれるだろう。
でも、いまおかあさんはねむっている。おとうさんもかいしゃで、おにいちゃんはがっこうでねてるのかな?だからおかしをたべたって、ちらかしてあそんだって、おしいれにはいってあそんだって、おこるひとはだーれもいない。それってなんだかドキドキするけど、ワクワクもする。

ぴりーこぱんは10まいもホットケーキをたべたからか、からだがさっきよりもだいぶまるくなっている。ふうせんみたいだ。
「ぴりーこぱん、つぎはなにしてあそぼうか?」
「うーんとね、かくれんぼがいいな!」
ジャンケンをしておにをきめた。さいしょのおには、あんこちゃん。
「もういいかーい」「まーだだよ」
「もういいかーい」「もういいよー」

あんこちゃんはかおをあげた。

すると、へやのまんなかに、きがはえていた


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「どゆこと?」
すこしのあいだ、あんこちゃんはかたまっていた。
きは、かぜもないのにサワサワはをゆらしている。
きのみきのまんなかあたりに、うっすらとかおがみえた。わらっている。
ここでようやくあんこちゃんは、ぴりーこぱんがきにへんしんしたのだときがついた。
きがゆれているのは、わらっているからだった。

あんこちゃんはおおきなこえでいった。

「ぴりーこぱん、みーつけた!」

「ええ~っ!どうしてすぐわかったの?」
ぴりーこぱんはしゅるしゅるとちいさくなって、にんげんのすがたにかわりながらいった。
「かんたんだよー。おうちのなかにきがはえてたらおかしいもん」
あんこちゃんはとくいげにいった。
ぴりーこぱんは、ぜんぜんきづいていなかったみたいで、かんしんしたようすでいった。
「ああ~、そっか~!あんこちゃんすごいね!たんていさんみたい!」
「そんなすごいかな?えへへ」
ほめられて、あんこちゃんはちょっとうれしくなった。

「じゃあ、つぎはわたしがかくれるからね!」
ほめられたし、かんたんにみつかるわけにはいかない。
それに、ここはあんこちゃんのおうち。かくれられるばしょはよくしっている。

「もういいかーい」「まーだだよ」
「もういいかーい」「まーだだよ」
「もういいかーい・・・」

あんこちゃんは、おとうさんのおへやにある、クローゼットのなかにかくれた。ねんのため、おとうさんのコートをかぶった。これでばっちり。
あんこちゃんはおおきなこえでこたえた。
「もういいよー!」

パタパタ・・・

ぴりーこぱんのあしおとがきこえる。いまとなりのへやをさがしている。

ガチャッ・・・パタパタ・・・ガチャン。

おふろばをのぞいているみたい。

パタパタ・・・ガラガラ・・・バタン。

こんどは、だいどころ。さすがにれいぞうこのなかには、いないってば。

パタパタ・・・チャッチャッチャッチャッ・・・

あれ?あしおとがかわったみたい。

チャッチャッチャ・・・

おとがちかづいてくる。

フゴフゴ・・・チャッチャッ・・・

なんのおと?なにしてるの?

フゴフゴ・・・

ドキドキ・・・。

フゴフゴ。ドキドキ。

フゴフゴ!ドキドキ!


「あんこちゃん、みーつけた!」

クローゼットのとびらもあけずにぴりーこぱんがいったので、あんこちゃんはビックリした。

「ええっ!どうしてわかったの?」
こんどはあんこちゃんがそういいながら、クローゼットのとびらをあけた。

するとそこには、いっぴきのイヌが、おすわりしてしっぽをふっていた。
「なかなかみつからないから、においでさがしたよ!」
そのイヌがいった。
ぴりーこぱんは、またまたへんしんしていたのだ。

「ぴりーこぱん、かくれんぼのときにへんしんするの、ずるいよ」
あんこちゃんはちょっとすねていった。このかくればしょ、けっこうじしんあったのにな。
「そっかあ。あんこちゃんへんしんできないもんね」
ぴりーこぱんがいった。
「それじゃあ、かくれんぼはおしまいにして、こんどはおそとであそぼうか」

つづく。

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