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各国の体外受精についての治療成績の公開状況の比較

概要

各国の不妊治療、特に体外受精についての治療成績の公開状況を比較する。
具体的には以下のHPを比較する。

 結論

$$
\begin{array}{|l|c|c|c|} \hline
観点 & 日本 & 米 & 英 & 豪 \\ \hline
全クリニックについて公開か & × & ○ & ○ & ○\\ \hline
全国平均とのわかりやすい比較 & × & △ & ○ & ○ \\ \hline
年齢別不妊原因別治療成績 & × & ○ & △ & △ \\ \hline\end{array}
$$

補足

観点1: 全医療機関について公開しているかどうか

以下は、諸外国について、全医療機関について公開しているか調べたときのメモ。結論からいうと、アメリカ、イギリス、オーストラリアともに公開していた。日本については、質問主意書とそれに対する答弁により全医療機関について公開が義務付けられておらず、これからも政府として公開を義務化することは考えていないことが明らかになったので×としている。

観点2: 全国平均との比較

各医療機関の治療成績が全国平均と容易に比較可能か、棒グラフなどでわかりやすく可視化されているかに注目した。日本以外の3国は可視化もされて容易に比較可能であったが、イギリスやオーストラリアが棒グラフに信頼区間が示されているのに対し、アメリカのHPでは信頼区間の表示がなかったため△と評価した。

観点3: より詳しい治療成績の公開

体外受精を考えている患者にとって、自分と同様の年齢や既往歴の患者についての治療成績を知りたいと考えるのは当然だろう。そこで、複数の年齢層の患者について治療成績を公開しているかや、「男性不妊」などの不妊の原因別の治療成績を公開しているかにも注目した。この観点で一番優れているのは年齢別・不妊原因別いずれの切り口でも治療成績を公開しているアメリカだった。イギリス・オーストラリアは不妊の原因別の成績は公開されていないが、複数の年齢階層の患者について治療成績を公開しているため△とした。日本のHPでは、単一の年齢階層の患者についての治療成績しか公開しておらず、不妊原因別の成績公開もなかったため×とした。

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