私的モキュメンタリーの魅力 5月22日(水)朝日記

こうやって日記を書いて改めて思うのは、私も含め、みんな他人の本音を聞くの好きだよなあということ。

よっしゃ書くぞ!って気合い入れて書いたものよりも、今日は何もしなかったからそれをそのまま書いた、みたいなものの方が反応をもらえたりする。

そういう、普段人前には出さない裏のリアルさを覗きたい願望があるように思う。

一般人の私なんかでもそうなので、芸能人は大変だ。
もう最近はテレビなどの表舞台以外の場所で、リアルな自分をさらけ出すのが当たり前になっている。

YouTubeやインスタで、気を抜いた瞬間を見せれば見せるほど、ファンは喜ぶ。

それは人に限らず、コンテンツそれ自体に対してもそうで、なにか作品を見たら、人の感想を見たり考察するところまでがセットになっている。

昔から、小説や映画の批評などはあったけど、一部の専門家やオタクのものだった。

それがポップになってきたのって、M-1からなのだろうか?
M-1の審査員が、お笑いっていう表しか見せてこなかったものに対して、ズバズバ裏側を明かすように評価を下すのがかっこよく見えて、みんな真似するようになったのかな。

また、元テレ東の佐久間さんがガンガン表に出だしたのも関係ありそう。
テレビの裏側の人が表の主役になったことで、いよいよ裏読みが市民権を得た。

特に佐久間さんはそれを売りにしていて、「あちこちオードリー」や「LIGHTHOUSE」では、出演者の本音をひたすら聞く、ということをエンタメ化している(でもそれは若林さんメインだからかもしれない)。

今、佐久間さんがテレ東の番組について感想を言う番組をテレ東でやっている。
「実はあの番組のスタッフって」みたいな話も飛び出す。

番組の裏話を裏の人が喋ってるのを聞く。
もはや、どれだけ裏に回れるかみたいな"裏合戦"になってる気がする。
(BLEACHで、瞬歩がインフレしすぎて背後取り合戦になってた絵を思い出した。)

もはや純粋に表だけを受け取ることってできなくなっちゃっている。
だから、ディズニーランドみたいに表だけで勝負してるところはすごいと思う。

じゃあこれ、この先どうなっちゃうの?
裏返しまくった先は一体何が残るの?

と思っていたら、この行き過ぎた人間の心理を逆手に取るムーブメントが起き始めている。
それが"モキュメンタリー"なんだと思う。

モキュメンタリー(英: mockumentary)は、映画やテレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法である。

Wikipedia

とあるが、中でも最近流行っているのは、あえて考察を煽るようなつくりをしている、謎解き要素のある作品だ。

例えば最近のヒットで言うと、テレ東の『イシナガキクエを探しています』だろう。

行方不明になった女性を、生放送で捜索する特別番組。
…という体のフィクションだ。

でもつくりがあまりにリアルすぎて、本気で信じた霊媒師の方が霊視して番組に電話をかけてきちゃう、くらいのすごみがあった。

これのすごいのは、フィクションと分かっている人も、番組が紡ぐ物語にのめり込んでしまうところだ。

それもそのはず。
これは、考察するために開発された装置と言っても過言ではないからだ。

番組内では、何か決定的なことが判明するという場面はなく、断片的な謎の情報が小出しにされる。

つまり、「裏読みしたいなら思う存分してください」と言わんばかりに、視聴者はほったらかされる。

裏を読もうと思ったらどこまでも読めてしまう。
でもその答えを番組は教えてくれない。
だから無限にのめり込んでしまう。

芸能人が裏話(ある種の答え合わせ)をして、視聴者の溜飲を下げるバラエティーと真逆で、どこまでいっても裏しかない迷宮に迷い込んでしまう。

もちろん、制作者側で用意したシナリオはあるのだろうけど、それがどうでもよくなるくらい、考察する過程の体験がおもしろかった。

そこに気持ちよさ感じる、という全く新しい体験だった。

ただ、番組プロデューサーの大森時生さんも言っていた通り、これを日常生活でやってしまっては絶対にいけない。
それは陰謀論にしかつながらないから。

陰謀論者の人は、やはりどこか気持ちよさを感じてしまっているのかもしれない。
自分だけが真実を知っているという酔いがありそうだ。

この気持ちよさだけを抽出して、リアリティーを損なわないフィクションに仕立てあげる技量に舌を巻いてしまった。

モキュメンタリー作品、まだまだいっぱいあるので触れていきたい。
あと、ホラー以外の道はないのか、探っていきたい。

今日のおすすめ🌿
今日の日記を書く上で参考にした、大森さんの記事。
今日書ききれなかったくらい色んな影響を受けたので、明日もこれについて書くかも。

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