写真はスリルショックサスペンス 4月16日(火)朝日記
フィルム写真は、現像に出すと、できあがりまで1週間かかる。
そんなに経つと、写真を撮った場所やシーンは覚えていても、具体的に何を撮ったかはぼんやりとしてくる。
だから、新鮮な気持ちで写真と向き合える。
・・・と期待していた。
こないだ、フィルムカメラを買って初めての現像が返ってきた。
まず、24枚中、現像できたのは18枚だった。
私が途中で蓋が開けてしまったので最初の方のネガはダメになっていた。
まあ、初めてだし仕方ないか・・・。と残りの写真を確認すると、ほとんど真っ暗で何が写っているかわからないものばかりだった。
結局無事だったのは、晴天の下、白い背景の前で撮った彼の写真と、窓からたっぷり光を受けて撮った料理の写真の、計2枚だけだった。
くっそぉ・・・。
花見の桜とか、おしゃカフェの店内とか撮ったのに・・・。
iPhoneに慣れすぎて、逆光とかいう概念もすっかり忘れていたので、構わずパシャパシャ撮っていたのがいけなかった。
スマホが優秀すぎるだけだった。
でも逆に、生き残った2枚がすごく尊いもののように感じられた。
けっして上手な写真ではないんだけど、よくぞ無事に戻った!という感動付きで気に入っている。
こうなったら、あえて改善方法を検索しないで、自力で試行錯誤を続けてみようと思う。
ヨドバシの人から「露光量が極端に足りなかったみたいです」とヒントももらったし、人の声と自分の経験だけを頼りに進むのがRPGみたいで面白いし。
昨日紹介した『センスの哲学』から引用すると、「カメラの現像を待つ期間」はサスペンスとも言える。
ここでいうコーヒーメーカーが、iPhoneにあたるのだろう。
現像に失敗した経験を得た私からすると、できあがりを待つ時間はスリルに満ちている。
それどころか、撮っている最中も「これって写ってる・・・のか?」とハラハラする。
これって本来必要のないハラハラなのだけど、そのおかげで、できあがりのありがたみがより増す。
こういう日常のサスペンスを味わうために、あえて不便な暮らしをするのもオツだなと思った。
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