早春

「あの空のあの青に手を浸したい」

谷川俊太郎の詩「春に」からの一節です。この詩には後にメロディがつけられ、合唱曲として著名です。中学校3年生の時分、約7年まえ(!)に合唱コンクールで歌ったことがあり、今でもこの春ふくよかなメロディを聴くと、当時の楽しいけども多少なりとも煩わしいような複雑な気持ちになります。校舎の階段のにおいや冷え冷えとした女子トイレの、饐えた空気・・・音楽準備室の埃っぽく木のにおいむせ返る、日の射さない、あの部屋。

あの明らかに幼かった頃と今の現実を比較して、いまだに大人になりきれてない私は、一体どちらが普通なのか特殊なのかわかりません。2年後くらいに働き出して、いつかあの不快感さえも「いい青春だった」と振り返るようになるんだろうか。一番うつくしいらしい季節にあるはずの今、多くの人々は辛いとか死にたいとかそういうことを一生懸命考えている、これはどうして。

しかし田舎の冬の朝はすがすがしく、ただただ冷たい空気が身体を通り抜けて、淀んだものを取っ払ってしまうように思われる、やがてまた静かに身体に澱が溜まり、浄化されて、人の身体が循環している、ということを感じさせてくれるようです。枯草に朝日が乱反射して、まぶしい暖かさです。

あけましておめでとうございます。