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吹け!伝統文化の風!

 先日、育て始めて三年目の薔薇が無事、咲いた。「薔薇は一番育てるのが難しい」とは良く言うが、質の高い花を目指さなければ育てるのは大して難しい訳では無い。ただ、虫が信じられない程付く。特に春と秋、一週間、目を離しでもすれば、葉はたちまち穴だらけになって、そこら中に忌々しい青緑色の芋虫が這う。新しくまだ柔らかい葉や蕾には、アブラムシがワラワラと付く。アブラムシに栄養を吸われた所は萎れる。そんな様子でどんどん薔薇の元気が無くなってくる。虫を無視出来ないとはこの事だ。

さて、寒い駄洒落をかました所で、今回はその「洒落」に関わりのある事について紹介しようと思う。

成立は江戸時代。基本は寄席、最近では地域の文化会館等のホールでやる事もあるという。寄席は、今でさえ少ないが、昔は100件以上あったらしい。伝統的な話術で、聴衆を笑わせてくれる。「笑点」でお馴染みのメンバーの本職に関わるもの。

そう、落語だ。

私は最近(本当に最近)(四日前から)、落語にハマっている。きっかけは「昭和元禄落語心中」という漫画。魅力的なキャラクター達が落語を通して成長していく様子が素敵な作品だった。この作中には、実際に語り継がれている噺(落語のお話)が多用されていて、一番出てきては登場人物達に変化をもたらすものが、「死神」という噺だ。

これは、貧乏な男が死神にある事を教えてもらい、大成功するものの…………というもの。当然私は、元になっている噺も聞きたいと思った。そこで、三遊亭圓生師匠の「死神」を聞いてみた。

……すごい!!!

話の上手さ、役の演じ分け、後半につれての死神の不気味さ、テンポ、全てに磨きがかかっていた。

そこで初めて、落語という素晴らしい伝統文化の存在に、気がついた。

その後私は次の日歴史のテストがあると言うことも忘れ(たことにして)、「堀の内」「応挙の幽霊」「品川心中」「花色木綿」「らくだ」etc...という風にひっきりなしに聞いた。落語というのは、一本三十分程かかるのだが、噺を聞いたあとは、何故か心が満たされた。多分、話し方が曽祖父と似ているからだと思う。

本当は落語の魅力を際限なく語りたい所だが、あまり長々と書いても仕方がない。今回は一つだけに絞ろうと思う。それは、発音の仕方だ。落語は江戸時代に成立したと言ったが、今ある噺もその頃から口頭で代々継がれてきたものが多い。その為か、江戸の言葉や下町言葉が多く出てくる。それらの言葉(特に女の人の言葉)が実に品が良く聞こえるのだ。「御銭」を、「おあし」と言ったり、「人」を「しと」と言ったり、「お前さん」を「おまいさん」と言ったりと、淑やかに聞こえるものが多い。私はそんな言葉に特に魅力を感じた。そして明日から使おうと思った、が止めた。友達は欲しい。黒歴史は要らない。

そんなこんなで、今私に落語の風が吹いている訳である。コロナが収まり次第、寄席へ足を運ぶつもりだ。これを読んで少しでも落語に興味を持って貰えたならば嬉しい、是非一度、三遊亭圓生師匠の「死神」聞いてみて欲しいと思う。もっと多くの人が、落語という素晴らしい文化に触れ、心に笑いの風が吹き荒れる事を願うばかりだ。

p.s.めちゃめちゃ落語新参者なんで言ってること間違ってたらごめんなさい!因みに、すごい笑えるのは「堀の内」や「花色木綿」で、ちょっと恐ろしいのが「死神」、愉快なのが「品川心中」等です……!是非!!



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