幻覚剤
幻覚剤は「安全だ」とか「鬱病が治る」みたいなポジティブな言葉を最近よくみかける。
確かに幻覚剤自体の身体に対する毒性は、日本で合法的に扱われている酒やタバコといったドラッグに比べれば微々たる物である事は間違っていないでしょう。
幻覚剤の効果には「知覚の変容」をもたらす点がある。
我々人間は常に外部からの刺激を頼りにこの世界を認識している。
リンゴを例にとってみる。
目の前の物質に光が当たり、その反射光の波長を眼で受け取り、電気信号となった情報が脳に送られ「赤くて丸い」と認識する。
実際に触れると指先や手の平の触覚を通じて「表面は滑らか」と認識する。
鼻で匂いを嗅げば甘く、僅かに酸っぱいような匂いを認識する。
かじれば酸味、甘味、渋味を感じることができる。
これら外部からの刺激が電気信号として脳に送られ、意識の中で多くの情報を統合する事で「これはリンゴだ」と結論を下すことができる。
通常、私達の脳はこの情報を定められた神経回路で伝達している。眼は視神経、耳は聴覚神経といったように。
幻覚剤の影響下では、それらの情報伝達が新たなルートで行われる。
眼からの情報の一部が聴覚神経に送られたり、舌からの情報の一部が嗅覚神経に送られたりと。
要は外部からの情報がより複雑に作用し合う。
例えでは、分かり易い代表的な「五感」と言われる部分で書いたが、温度感覚や平衡感覚、痛覚等、数多くの感覚を私達は持っている。
故に幻覚剤の影響下では、シラフでは到達できない、全く別の世界に行くことになる=トリップ(trip)
それはある意味、シラフで生きてきたこの世界との「一時的な」別れを示す。
時間が経てば幻覚剤のトリップは終わりを迎えるが、ドーズ(摂取量)を増やせば時間感覚も徐々に消え、一瞬と一生の区別もつかなくなる。
この世界に未練があれば、トリップ中に「こちらの世界」に戻りたくなるでしょう。早く抜け出したくなるでしょう。後悔するでしょう。
しかし、そういった負の思考になればなるほど険しく、苦しいトリップになります。
世界に嘘をつく事は簡単でも、案外自分を騙す事はそう簡単ではありません。
幻覚剤未経験でこれから体験しようと思っている方、やり残した事は無いでしょうか。今やるべきでしょうか。
お節介で書きましたが、どうなるかは経験しないと分からない事、気付けない事もあると思います。
私も一一般人故、専門的な知識を持ってる訳ではありません。
とは言ったものの、こちらの世界で死んでしまっては元も子もありません。
最低限身の安全を確保できる環境の準備は「必ず」怠らないようにしましょう。
少しでも有意義なトリップにする為の材料の一部にでもなれれば幸いです。
良いトリップを!
※この記事は違法薬物の使用を推奨、示唆するものではありません。
不定期で体験談なども書こうと思います。
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