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Self liner notes #06 足の長い風

きっかけは打算でしかない。
無名の、歌うたいでも、ピアノ名人でも、器量よしでも若さもないミュージシャンemma mizunoのアルバム。大抵の楽曲はもっぱら「不穏」系。そんなアルバムを束ねなくてはならないプロデューサは鈴木博文氏。ミュージシャンとして大先輩の氏からの提供曲がひとつくらいあると、ニュースリリースや記事に書き出されやすいのでは、と、一時はマーケティングと名のつく仕事をしていた水野の、したたかな思いから、ワタクシにひとつ作ってくれないかと依頼した。

こんな曲がいいとかあんな詞がいいとか、リクエストは一切出さなかった。彼からのヒアリングもなかった。博文さんの曲をそんなに分析できているわけではないが、ご自身のソロ曲は特に、シンプルな方が存在感のある歌声が引き立って、歌詞もよく聞こえてくる。歌詞は意外なものまでもが擬人化され、その視点のずらし方が「詞」たらしめる妙なのだと思う。
作ってくれた「足の長い風」にも彼の詞曲のエッセンスが存分に散りばめられていた。でもワタクシに対しての遠慮なのか、良い意味での距離をとっているのか、上手く云い当てられないがちょっと及び腰な歌詞だと思う。それが曲と不思議と合っている。キーが高いかと思ったが、不覚にも歌いやすかった。
正直に云うと、まだどこに向かって歌ったらいいのか見つけられていない。きっと博文さんに尋ねてもふんわりはぐらかされるのが目に見えているので、聞くまいと決めている。
でも何回か、何回も歌っていくうちに情景とやらは浮かんできている。夕暮れ、夕闇と歌っているけどやたらと眩しいのだ。

ライヴは
2023/06/10(土)

open 18:30 / start 19:00

コチラ→ emma mizuno LIVE「Amorphous 404」

配信アリます。



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