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脱力って実は結構難しい

『もっと力を抜いて!』って言われても
なかなか力が抜けなくて困った
ということをよく聞きます。
脱力って"力を抜いたらいいだけ"なんだから
簡単にできるように聞こえますよね?

力を入れる(重いものを持ち上げたり、
動かしたり、相手を止めたりする)のは
技術や練習、筋トレが必要だけど、
“力を抜くぐらい誰でもできるでしょう!
 練習なんてしなくても”

ということで、脱力の方法って
指導も練習もしないように思うんです。

でも、実は結構難しい。

動作法では「脱力」でなく
「弛緩(しかん)」といいます。
そして、目指すのは
最適緊張”です。
余分な力を入れずに"必要十分な筋緊張"で
からだを動かすことを目指します。
(詳しくはまた別の記事で。)

今回は
弛緩できない理由は何か考えてみましょう。
次の3つの質問に答えたら
(A)から(D)のどれに当てはまりますか?

脱力の質問分岐図4パターン

(A)力みを指摘されてもすぐに気づいて
  弛緩できるといい感じですね。
  ただ、どうして力んだのかわかりますか?
  指摘される前に自分で気づいて
  弛緩できたらもっといいですね。

(B)どこに力みがあるのかわかっていても、
  どうやって力を抜いたらいいのかわからない。
  無意識に入れた緊張は弛緩しにくいものです。
  弛緩する方法は分かっていても
  弛緩できない心理的な理由があるかも。
  例えば、ある柔道の選手は
  「力を抜いたら投げられるかもしれない」
  という怖さがあって弛緩するのが
  難しいようでした。

(C) 力んでいるのはわかるけれども、
  どこに力みがあるのかわからなくて
  弛緩できない場合、無意識に力んだので
  どこに力を入れたのかわかりにくいのかも。
  又は、からだの感覚が
  あいまいな部分があるのかもしれません。

(D) 「力を抜け」と言われても、
  力んでいるつもりが全くない人は結構います。
  めちゃくちゃ肩がこっているのに、
  「肩コリは無い」と断言する人も多いです。
  普段から、過緊張状態が長く続いていると、
  からだが硬いのに慣れすぎて
  弛緩しているのか、緊張しているのか
  わからなくなってしまうことがあります。

同じ人でも時と場合によって
この4パターンのどれに当てはまるかは
異なると思います。
つまり、上手く弛緩できるときもあれば、
できないときもあり、
また、これまで出来ていたとしても、
突然弛緩できなくなることもあるでしょう。

それは、筋緊張がこころの動きと
密接に関連しているからなのです。
こころとからだは一つのものですから
こころの緊張はからだの緊張となって現れます。

例えば、
大事な試合だからもっと頑張ろう
キャプテンになったからちゃんとやらなきゃ
失敗したらどうしよう
レギュラーにならないといけない
etc 
緊張する元はいくらでもありますね。

“力ている”のと、
“力ている”のは
たった2字違いですが大きな差があります。

意識的に力を抜いている場合は
力んだら気づけるので
また、弛緩すればいいだけですが、
自然と(つまり無意識的に)
力が抜けている状態は
何かの拍子に力んでも気づきにくいので
意識的に弛緩するのが難しいのです。

知らずに力んでいるので
どうにもならないと感じているかもしれませんが、
からだが勝手に力んだりするわけではなく
無意識でも自分で力んでいることに
変わりはありません。
よく「肩がこった」と言いますが、
勝手に肩に力が入ったわけではなく
自分で肩に力を入れて、
硬くしていただけなのです。

日常生活でも、どんな動作でも
余分な力が入っているかもしれないと
からだに注意を向けることが大切です。
あると思って探したらきっと見つかりますよ。