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子どものスポーツ指導:もっと他にやれることがあるはず(後編)

暴力的な指導は許されないということが
日本社会でも広まりつつあります。
にもかかわらず、
問題のある指導をやめられないのは
なぜでしょう?
もちろんケースバイケースで
原因はいろいろあるでしょう。
でも、ここで一つ指摘したいのは
”変化抵抗”です。

どんなに不適切な行動でも
人が続けている以上は
何かメリットがあるということです。
過去にその指導で上手くいった成功体験は
“自信”となるので一番のメリットでしょう。
だから、ただ止めろと言われても
手放すことが難しいのです。

前編で
電車内で携帯電話で話す人を見なくなったと
書きましたが、ただ、迷惑だからやめなさい
という同調圧力だけで
みんな止めたわけではなく、
LINEなどのチャットやショートメッセージで
電話で話さなくても、ほぼリアルタイムに
コミュニケーションが取れるようになったからだと思うのです。

つまり、別のより良い方法に
置き換わったということです。
他人に対話の内容が盗み聞きされることもなく
字を打つのが面倒な人もいるとは思いますが、
パソコンのキーボードと違って
日本語も格段に入力しやすくなり、
かわいい絵のスタンプまで使えるのですから。
(日本人はかわいいもの好きですから)
しかも、電話と違って、
やり取りを勝手に止める(無視する?)ことも
できるのです。
電話は、最初から応答しないことはできますが、
話している途中で無言になったり、
いきなり切るのはなかなかやりにくいものです。

だからスポーツの指導も
いくら周りが、暴力暴言はダメと言っても
『じゃあ、どうやって指導したらいいの!』
『やったことがないからそんなこと言えるんだ』
などと思っている指導者が
暴力的指導を止めるのはかなり難しいでしょう。
競技成績が自分の雇用に直結している指導者も
いるわけですから。
暴力的指導は強制的に相手を従わせる点で
即効性があるように見えるものです。
また,年齢が低いほど大人の言うことを聞くものです。

だから、ただ止めなさいというだけでなく、
代わりのより良い指導法を
提供する必要があります。
最近では暴力に頼らない指導法、
トレーニングだけでなく、
動作解析やデータ分析などいろんな手法を取り入れて
活躍するチームや選手も増えているようです。
ただ、なぜか心理的な部分はまだまだ
手を付けられていないようです。
身体を動かしているのはなのに、です。

パソコンにたとえると
パソコン本体(ハードウェア)に
システムやアプリケーショ(ソフトウェア)が
ちゃんと入っていても、
人が電源を入れなければ何も始まらないのです。
アスリートだって
健康な筋骨格(ハードウェア)に
優れた脳神経(ソフトウェア)が揃っていても、
本人が動こうと思わなければ動きません。

英語に次のようなことわざがあります。
“You can take a horse to the water,
but you can't make him drink.”
「馬を水辺に連れて行けても水を飲ますことはできない」
周りがいくら環境を整えても
最後は本人がやる気になって
行動しないといけないというような意味です。

このやる気モチベーションはまさしく
の問題ですよね。
ぜひ,選手,指導者,保護者の皆さんに
もっとのことに興味を持ってもらえたらと思います。

というと目に見えないし、
よくわからないので苦手意識があるのは
仕方がないかもしれません。
でも、やったことがないことの方が
伸びしろがたくさんあるはずです。